一般質問

平成22年第4回6月定例会

質問1回目

24番(小森唯永議員) おはようございます。
 私は、新風21を代表し、通告に従い米沢市長への質問を行います。
 米沢新市長は、20年ぶりとなる民間からの市長であり、市民の期待も大きく、この閉塞感漂う地域経済の立て直しを期待するものでございます。特に今議会、18日の答弁、フードバレーとかち構想に対する熱い熱い思いには感動を覚えた次第でございます。
 さて、今日の本市を取り巻く経済環境は、必ずしも順風とは言えませんが、十勝・帯広は、疲弊する道内各地の中では経済状況がよいところと言われております。民間の体力がまだ残っており、道内を回っているセールスマンが言うには、帯広で物が売れなければ道内で売れるところはないと言っておりました。しっかりした農業に支えられている現状に感謝しなければなりません。
 この基盤は、長年にわたって地道に努力してきた先人のたまものであり、農業者及び関連産業の皆様が築き上げました。さらに、地元選出の実力政治家が農業の基盤整備を行った結果、冷害のない十勝の農地をつくり上げたからであります。
 しかし、この農業とて盤石なものではありません。ほんの2年前には、石油の高騰により肥料、飼料、農薬、資材、トラクターやトラックの燃料の高騰により甚大な被害を受けました。幸い、政府の援助と短期間であったため、危機は一応回避されました。しかし、今後もこのような危機がないとは限りません。やはり、抜本的な農業振興対策が必要であります。そこで、新市長になられた米沢市長の提案されているフードバレーとかち構想に強い期待を寄せるものでございます。
 私は、フードバレーを含む産業経済政策及び行財政改革と本市財政状況の見通しに絞って質問いたします。
 まず最初に、経済産業政策であります。
 市長には就任早々でまことに言いにくい話ではありますが、農業以外の本市2次、3次産業は、長引く不況からいまだ脱してはおらず、民間企業は大変な苦境に立たされております。昨年の本市を含む管内企業倒産は、件数こそ前年比2件減の35件でありましたが、倒産企業の負債総額は162億7,000万円と、前年度比80億7,000万円の2倍になりました。業種別では、建設業が18件、52%で半数以上を占め、以下、卸小売業、サービス業であります。また、昨年度のセーフティーネットの貸付額は前年度に比べ2.7倍の69億円であり、件数、金額とも過去最高を記録しました。また、倒産には至っていないものの、企業の持っている負債額は過去最高であり、いつ事業を廃止してもおかしくない状況にあります。
 本市においてこれまでいろいろな経済政策をとってきたわけでありますが、一向に改善の見通しが立ちません。長期的な視野に立ち、しっかりした本市の産業経済政策を立ち上げなければなりません。
 私はこれまで、本市独自の産業創出を行うべきと、農業を核として十勝DNA研究所の創設やバイオバレー構想をちょうど7年前の平成15年3月議会、平成15年6月議会一般質問で提唱いたしました。この十勝・帯広の特性、優位性を生かし、ここから全国、世界に発信できる技術や生産物を創出すべきと言ってきました。具体的には、地域に合った種子の開発、味のよい作物、多収穫できる作物、寒冷地で育つ稲、熱帯地方の少雨でも育つ小麦などの農作物の研究が必要と考え、他の地域にはない研究機関、帯広畜産大学や十勝にある国、道の研究所との共同研究の必要性を強く訴えてきたのであります。
 遺伝子組み換え技術には異論のある人も多いのですが、地球上の人口は、私が生まれたとき20億人であったものが、現在67億人、私たちが死ぬころには90億人と言われております。20億人になるのに1万世代もかかったものが、20億から90億人になるのにたった100年という異常なスピードであります。
 この食料不足と環境破壊に対応しようと、世界じゅうの研究者が取り組んでいます。農業関連の種子改良等、先端技術には通常の改良とスピードの速い遺伝子組み換え技術があります。現実には米国や南米を初めとした大豆、トウモロコシなどの大半が遺伝子組み換え作物となっています。オーストラリアでは遺伝子組み換え作物はつくっていなかったのですが、地球温暖化の影響によって雨が降らず、現在干ばつに強いDNA組み換えによる小麦が大量に栽培されています。
 世界では今、食料不足が現実の問題となって、先端技術が求められています。私たちは単なる農業生産基地だけでいいのか、生産基地を武器に新作物の創出まで考える必要があるのか、答えは明らかであります。
 生産費では、米国やオーストラリア等の農業大国にかなうはずはありません。付加価値の高いものを生産しなければなりません。
 私は、平成18年6月議会一般質問で、北大のR&Bを参考に、これからの世界に必要な先端技術を使った帯広R&Bパーク構想に取り組む砂川前市長の提案を受け、積極的に取り組むように申し上げました。さらに、半年後の12月議会では、2カ月前の10月に本市の姉妹都市マジソン市を訪れた結果を報告し、マジソン市の例を次のように紹介しました。
 近年のウィスコンシン州マジソン市は、ウィスコンシン州立大学を核に産学官連携が進み、全米でも屈指のバイオ産業成長都市として中西部の奇跡と呼ばれています。人口若干20万人、学生数4万2,000人の大学のまちは、3年間で22万人に増加し、ウィスコンシン州の失業率5.5%に対しマジソン市は2%台と低い失業率で、全米でも屈指のバイオ産業と大学、農業が融合した都市となりました。これによる特許取得数は今までに1,600を超え、1,700億円の特許収入を得、1,000億円超の資金を大学の研究品に還元しました。その結果、114社に上る企業が設立され、4,000人超の雇用を確立し、経済効果は年間800億円を超えると言われております。まちは活気に満ちており、人口増による住宅や道路の環境整備の敷設に追われるという、うらやましい悩みを持っておりますと紹介いたしました。
 さらに、この大学の研究の後押しをしているのがWARFであります。WARFとは、9人のウィスコンシン州立大学の卒業生が、わずか100ドルずつ出資して設立した大学研究の金銭支援が目的の非営利組織であり、その結果、その特許数は年間400件で、特許料収入は60億円に上ります。現在は50人の職員と1,800億円の基金を有しております。大学へは年間78億円の研究費を提供しており、これにより1,600件もの特許を取得する基礎となりました。この制約の少ない資金を利用することにより、優秀な研究者を全米から集め、研究結果は先端技術として企業に利用され、得られる利益をWARFに還元し、さらにそれが再度大学の研究費に充てられるという循環が確立されています。このWARFなくして、マジソン市のR&Bが成功することはなかったでありましょう。
 また、URP、大学リサーチパークは、ウィスコンシン州立大学の研究成果を民間企業に橋渡しを行うために設立された非営利団体であります。URPの功績は大きく、現在までに114社の企業誘致に成功し、マジソン市の繁栄のかぎを握っていると言えます。マジソン市の郊外にあるURPは、104ヘクタールに及ぶ広大な敷地で114社の民間企業が立ち並ぶ、まさにバイオバレーであります。さらに、現在第2の集積地も建設中とのことであります。
 さて、本市の現状を顧みますと、帯広畜産大学では教員数や学生数ではウィスコンシン州立大学に引けをとっていると言わざるを得ません。しかし、我が十勝には国と道の農業試験場や畜産試験場があり、農業の研究施設としてはマジソン市に引けをとらない状況にあると言えます。
 次に、WARFやURPのような研究支援組織と非営利組織であります。本市には十勝圏振興機構がありますが、研究の取りまとめとの感が否めません。特に、研究費の助成は国から来るものが大半であり、地元の研究補助は100万円前後で皆無に等しく、この地域に合った研究が求められる状況ではありません。よって、URPのように自信を持って企業誘致などできないのであります。金は出さず、組織もつくらず、口先だけでは大学の研究が進むはずもなく、もちろん人も集まりません。結果、この地域における新産業の創出はおろか、基幹産業である農業の維持発展など望むことができません。
 今後、帯広独自のR&Bの積極的な取組みを求めると訴えていました。しかし、残念なことに、4年たっても本市のR&B計画は、その後産業連結に移りましたが、計画だけに終わり、いまだ具体的に何の進展もありません
 今回、米沢市長は強い意志を持ってフードバレーとかち構想を掲げられ、この十勝の基幹産業農業と関連する産業をさらに発展させようとしております。まさに、私が提案したことと同じ趣旨であります。市長は、その理念と具体的な取組みをぜひここでお示しくださいと伺いたいところでしたが、18日に他議員に詳しく御説明されました。市長は具体的な中身は今出せないとのことですので、聞いても同じでありましょうから、ほかを伺いたいと思います。
 帯広地域産学官連携推進会議が昨年7月から取り組んでおりますが、今年度の事業実施予定の計画はどうなっているのでしょうか。今まで調査費も含めて2年で592万円をかけているわけですから、無駄にされては困ります。また、本市の農業粗生産額は260億円で、十勝管内での約1割であり、農業粗生産額の大半は町村であります。町村管内のウエートは重く、管内町村とフードバレーとかち構想とはどのような連携をしていくつもりでいるのでしょうか。
 フードバレーとかち構想にバイオ先端技術産業や技術研究も含めるつもりでしょうか。
 また、市が検討している総合特区とフードバレーとかち構想の考え方についても伺います。
 さて、本市の基幹産業であります農業、畜産を脅かす事態が現在進行中であります。宮崎県で発生した口蹄疫であります。英国では過去大きく3度の口蹄疫が発生しています。1967年11月にイングランド中西部シュロプシャー州で発生、感染源は輸入肉とされたため、家畜や畜産品輸入を停止するとともに、延べ44万人の軍隊を投入、40万頭以上を殺処分するとともに、感染の根絶に7カ月を要しました。初期対応のスピードがすべてとの教訓は生かされませんでした。
 2001年2月には南東部エセックス州で感染が確認されましたが、これも初動がおくれ、延べ21万人の軍隊が650万頭以上を殺処分にし、焼却しました。総選挙や地方選挙も1カ月延期され、政府が事実上の終結宣言を出したのは、翌2002年1月。影響は畜産業にとどまらず、観光業や地方経済に広がり、被害額は80億ポンド、当時の為替レートを1ポンド180円で換算すると、1兆4,400億円に上りました。
 3度目となる2007年8月の再発時、政府はこの対策を即時に発動、感染の確認は8件、家畜の処分は約2,000頭にとどまり、2カ月足らずで鎮静化しました。
 本市の畜産は、農業粗生産260億円中60億円でありますが、管内では農業粗生産2,500億円の約半分が畜産であります。すなわち、畜産関連企業のほとんどは帯広市に存在するわけですから、もし管内で口蹄疫が発生したら、農業者のみならず管内企業、商店の関係者は致命的な損失になることは、今回の宮崎の例を見ても明らかであります。十勝における口蹄疫対策と畜産における直接の被害額は1,260億円としても、その関連に与える経済的被害額は幾らになるかについてお伺いいたします。
 本市においてとられている口蹄疫対策はどうなっているのでしょうか。
 さて次に、行財政改革と本市財政見通しであります。
 昨年政権交代が行われ、自民党から民主党にかわりました。民主党政権は無駄をなくし、必要なところには財源措置をするとのことでしたが、実際には3兆円と言われた事業仕分けが、天下り組織の見直しも思うようには進まず、わずか7,000億円程度でした。国家の予算が税収より国債の発行が多くなったのには、将来の不安を覚えずにはいられません。もっとも自民党も昨年の総選挙前、選挙目当てと言われているように、1次、2次、3次補正と国家予算をはるかに超える100兆円ものばらまきを行ったのですから、どちらもどちらと言えるでしょう。
 しかし、そのしわ寄せが地方に来るようではかないません。本市財政は、市税と地方交付税、国庫支出金、諸収入で大半が賄われております。本年度地方交付税は、昨年度並みの140億6,000万円が予定されているようですが、子ども手当や国民健康保険等、実際には市の手出し分が増加しています。また、不況による税収の落ち込みや不払いなどが予測されます。幸い昨年度は滞納市税収納率が20%に達したようでありますが、2007年度の不納欠損額は過去5年間で最多の7億9,112万円でありました。さらには、昨年赤字に転落した国民健康保険料、不景気による収入不足と、今年度から値上げされ滞納が予想される国保を含め、介護保険料など心配は尽きません。
 そこで、お伺いいたします。
 今年度予算案中、市税収入は昨年度に比べ3.1%減の6億9,000万円少ないのですが、今後の見通しを伺います。
 国家から支給されるであろう今後地方交付税の予測と、国家から要求され増額されるであろう本市負担の分担金はどのようになるのでしょうか。
 次に、米沢市長は市政執行方針の中で、情報公開や市職員の意識改革、行政コストの見直し、健全財政に努めると、もっともなお話であります。ぜひ進めていただきたいと思います。
 その中で、私は市長にどうしてもやっていただきたいことがあります。市職員の意識改革と優秀な職員の発掘であります。
 総務省は、平成19年、改正国家公務員法に基づき、能力、実績主義の人事管理に関する諸制度が導入され、人事評価の基準、方法等に関する政令が施行され、新たな人事制度がスタートいたしました。人事評価は、任用、給与、分限、その他の人事管理の基礎とするために行われるもので、職員がその職務を遂行するに当たり、発揮した能力及び上げた行政を把握した上で行われる勤務成績の評価であります。国も始めています。民間では当たり前となっている人事評価が、本市では具体的な形となってあらわれてきていません。
 人事評価は、職員の育成や処遇の基礎となり、職員の能力向上と組織力を強化するものであり、優秀な職員の適材適所への配置は、何よりも市民へのサービスの向上となるものであります。当然能力のある人、一生懸命に仕事を取り組む人を、給料や人事で優遇しなければなりません。
 私の平成20年9月議会一般質問で、理事者は次のようにお答えになっています。新たな人事評価については、地方分権の進展など時代の変化やさまざまな行政課題に対して意識の改革や能力を最大限発揮し、市民の満足度の向上に的確に対応できる自立した職員の育成と組織の強化を図るために導入するものでございます。この制度に当たりましては、本年2月庁内検討委員会を組織し、制度のあり方等について検討するとともに、職員の意見聴取を重ね、人材そだち評価制度として定めております。この制度につきましては、職員の周知とともに評価者研修などを経て、9月から試行を開始してございます。本年度は1月までに試行、評価を行いまして、その結果を検証し、制度の充実を図る考えでございます。なお、今後につきましては、21年度に管理職の本格導入を図るとともに、一般職の試行継続を行いまして、22年度には全職員への本格導入を予定しています。また、評価の結果につきましては、人材育成を主体に活用していきたいというふうに考えております。将来的には、給与等にも反映していきたいというふうに考えているところでございます。このあり方につきましては、試行の結果を踏まえて制度の充実、また検証を通じて、さらに検討を重ねていきたいというふうに考えておりますとありました。
 当時からもう2年になろうとしておりますが、計画どおりであれば、今年度から全職員に対し人事評価がなされているはずでありますが、現在どのように推移しているのかをお示しいただきたい。
 市職員の意識改革を行うとのこと。これは民間企業の経営感覚とコスト意識に基づく行政改革を推進するための具体的な施策の一つであり、現在の組織の活性化と市民のためのより効率的な事務事業の執行を図り、その結果として市民益の増進につながることを目指すものです。
 市長は、市職員の意識改革により、市民のための市役所を目指すとありますが、どのような意識改革をされようとしているのか、お伺いいたします。
 本市におきましては、第一次、第二次行革を通じて随分行革コストの削減がなされてきました。現在、第三次行革進行中であります。行財政の厳しさは年々ひどくなってきているのは、今紹介したとおりでございます。
 そこで伺いますが、市長は民間の視点で行政コストの見直しをしたいとも言われておりますが、どのような点の見直しを考えられておられるのでしょうか。削減分はどうするのか、充実させるところはあるのでしょうか。
 また、行政コストの見直しの一環として、帯広版市場化テストが開始されました。現在、地下売店が市場化テストとして実施されていますが、その後ほかの状況についても伺い、1問目の質問とさせていただきます。
◎砂川敏文市長 おはようございます。
 ただいまの小森議員の代表質問中、まず初めに、フードバレーとかちにつきましてお答えいたします。
 帯広・十勝は、我が国を代表する食料供給基地として、安全、良質な食料の生産基盤はもとより、関連産業の集積や帯広畜産大学を初めとする試験研究機関が多数立地し、アグリバイオ、ライフサイエンス等の先端技術の研究が取り組まれています。私は、21世紀において大きな可能性を秘めている帯広・十勝の地域資源であり、かつ他地域に優位性のあります食と農業を柱とした地域の成長戦略をフードバレーとかちと総称し、これをまちづくりの旗印に帯広の特徴的な政策として取り組むことで、次の時代を開いてまいりたいと、かように思っております。
 その推進に当たっては、農商工連携や産学官連携を図りながら、食と農業の周辺における創業、起業の促進、地場資源の付加価値の向上、ブランド化などの取組みを総合的に展開してまいりたいと考えております。
 特に、産学官連携や研究開発については、フードバレーとかちの推進におきましては大切な役割を担うものと考えており、既に昨年7月、地域における産学官連携拠点の形成のため、関係17機関で帯広地域産学官連携推進会議が設立され、現在プランの骨子づくりが進められておりますことから、今年度はフードバレーとかちの考え方をこの骨子に盛り込み、さらなる推進を図っていきたいと考えております。
 また、研究開発については、産業の発展に果たす科学技術の役割を踏まえますと、御指摘のようにその重要性はますます高まってくると考えております。したがいまして、地域における先端的な技術開発やその成果も、貴重な地域資源となり得るものでありますことから、関係機関と連携しながら、その促進、そして活用に取り組んでいきたいと考えています。
 21世紀の国家の成長戦力分野でもあり、かつ十勝が日本のリーディングポジションにある農業分野、まさにそういうリーディングポジションにあると、そういうことがゆえに、その分野における先端技術は、まさに最先端たり得るわけであります。よって、そこから出てくる果実も競争力を持ってくると、そういう流れだと考えておりますので、今申し上げましたようにこの先端技術R&Dというのは非常に重要なものだという認識をしております。
 次に、管内町村との連携についてでございますが、十勝管内はいずれも農業を初めとする第1次産業を基幹産業としており、関係機関や企業の立地も全域に及んでおりますことから、十勝全域とスクラムを組んで推進に当たってまいります。まさに十勝のスケールそのものが、今後の展開に迫力を与えるんだろうというふうに認識しております。連携方法、連携方策等につきましては、具体的な取組み項目の中で今後検討してまいりたいと考えております。
 さらに、地域産業の振興や地域の活性化を図る上で、各種の規制緩和やそれから税制改正、国の施策等の重点支援などが有効であることから、現在国において検討中の総合特区について、農業、食、環境をテーマに活用を検討しております。
 この制度は、従来の構造改革特区の規制緩和に加えて、税、財政支援などの優遇措置と連動させ、自主的、自立的な地域の活性化の取組みに対して支援を行おうというものであります。具体的には、国において総合特区の制度が今設計されている最中でございますことから、今後もその情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 次に、口蹄疫についてでございますが、4月20日の宮崎県で発生が確認された口蹄疫は、いまだ終息の兆しが見えず、既に本市においても国際農業機械展などのイベントの延期あるいは中止が決定されております。経済的被害額の全体像の把握は非常に難しいものがございますが、万が一帯広・十勝で発生した場合は、畜産業への甚大な影響が生じることはもとより、関連する食品製造業や畜産関係流通業の停滞が生じるほか、各種イベントの中止に伴う観光客の減少による宿泊、小売、飲食業等サービス業への影響など、地域経済に大きな打撃となることが予想されます。
 本市における発生の予防対策といたしましては、まず十勝・帯広への口蹄疫の侵入を阻止することが第一であると考えます。そのため、畜産農家や農業協同組合等で組織する帯広市家畜伝染病自衛防疫組合を中心に、畜産現場における自衛、防疫の徹底を行います。また、十勝の空の玄関口でありますとかち帯広空港での乗降客に対する靴底の消毒を初め、農村地域の公共施設における消毒を実施するなど、行政として可能な取組みを進めますとともに、市のホームページ等を通じ市民にも協力をお願いしているところであります。
 次に、財政見通しについてでございますが、市税収入の見通しにつきましては、常に景気の動向とあわせて見ていく必要がありまして、今後景気の回復基調に転じた場合は一定の増収が期待できますが、当面は厳しい見方をせざるを得ないと考えております。
 一方、地方交付税については、本年度に実施された特例的な加算額が今後も継続されるならば、一定の交付税総額は確保されるものと考えております。また、国から要求される分担金につきましては、国の予算や制度改正などの動向によることから、現時点では不透明な状況となってございます。
 次に、行政コストの削減についてでありますが、現在取り組んでおります行財政改革の考え方に基づきまして、民間委託などによります民間活力の導入などにより、公共サービスの提供手法の見直しを進めますほか、仕事量に見合った適正な職員規模とするとともに、職員が常に仕事のプロセスにおける改善やコスト意識を持って取り組むよう、意識を高めていくことも大切であると考えております。こうした取組みによりまして、市民サービスの充実と持続可能な行財政基盤づくりを進めてまいりたいと思っています。
 市場化テストにつきましては、民間提案による公共サービス改善制度といたしまして、昨年度民間から幅広い提案をいただき、モデル事業を実施、制度として一定の評価をしていますが、課題もありますことから、現在その整理を行っているところであります。
 次に、多少前後いたしましたけれども、市職員の意識改革についてであります。これからの自治体は、みずからが主張を発信し、行動できる地方政府として、自立に向けた確かな基盤を築く必要がございますことから、職員の意識改革を進め、やらされ感をなくし、従来の延長線ではなく、慣例にとらわれない柔軟な発想で、新たな都市経営の視点に立って、満足度が高い市民サービスを提供していくことが必要であると考えております。
 私は、就任後、庁議やそれから職員研修の中で、セクショナリズムや形式主義、または事なかれ主義、内向き思考、こういう仕事を進める上で排除してほしい組織にありがちな10の項目を、組織の10の敵として皆さんに話をしました。また、常にこれまでとは違う発想を持って仕事をしてほしいという思いを込めまして、仕事を進める際の3つの行動原理といいますか、そういうものをお話ししました。
 1つ目は、ぞくぞくする仕事をしようじゃないか、2つ目は、元気が出る仕事をしようじゃないか、そして3つ目は、これまでと全く違う仕事の仕方をしようじゃないか、このような話をしてまいりました。今後も人材育成基本方針に基づきまして人づくりを進めてまいりますが、さまざまな機会をとらえまして、職員との意思の疎通を図って、私の考えを伝えながら、職員の意識改革、そしてやる気づくり、モチベーションアップに取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、人事評価についてでありますが、人事評価制度はまさに職員の働く意欲や能力の向上を図り、組織を強化することを目的に、平成20年度より試行的に導入しております。今後は評価結果の処遇結果への反映について検討してまいりますが、制度設計に当たっては、職員の十分なまず理解、それとともに公平性、客観性などを確保することが重要であるという点もございます。今年度につきましても、全職員を対象に、さらに試行を継続しているところでございます。
 以上であります。

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質問2回目

24番(小森唯永議員)  現在の日本の繁栄をもたらしてきました団塊の世代を中心とした人々のリタイアと人口の減少は、日本の国力及び産業の衰退を確実にもたらしてきています。日本の1人当たり国内総生産GDPは、1995年で世界1位、2000年で3位、2001年5位、2002年7位、2003年9位、2004年12位、2005年15位、2006年18位、2008年21位と、残念ながら大幅な下落をもたらしています。このまま日本はどこまで下がり続けるんでしょうか。
 国税庁の調べによりますと、民間事業所に昨年1月から12月まで1年を通じて続けて勤務した給与所得者は4,587万人、そして1人当たりの平均年間給与は、経済情勢の悪化を受けて、前年度に比べ1.7%減少しました。この減少率は、データの得られる1950年以降では最大、水準としては90年ごろと同じで、ピークの97年からは1割低下したことになります。年間給与の分布を見てみますと、300万円以下の層が1,820万人で、全体の4割を占める。中でも200万円以下の層の増加が著しく、この10年間、景気動向にかかわらず、ほぼ一貫してふえ続け、小幅増で推移する給与所得者総数に占めるウエートも上昇、2008年は23.3%となり、男性でも10%超えたとあります。このような中にあって、地方が勝ち上がるのは至難のわざと言わざるを得ません。
 しかし、世界を見ますと、小国であっても1人当たりGDPが、ルクセンブルク11万1,082ドル、ノルウェー9万4,359ドル、スイス6万3,178ドルと、日本の3万8,443ドルの2倍から3倍の生産を上げている国もあります。中国もことしは日本を追い抜いて、国別生産では日本もさらに中国よりも下に行ってしまうと、このように言われています。
 ですから、このような小国でもこれだけのGDP上げれるわけですから、私はやり方によってはまだまだ所得を伸ばすことは可能なんではないかと、そのように考えています。日本の最も得意な先端技術を世界へ、経済成長の著しい中国への農畜産物の輸出は、今後十分な可能性を秘めていると言えます。市長の進めるフードバレーとかち構想の実現は、この地域の将来をかけた重大、重要な政策であると考えます。
 フードバレーに取り組んでいる富士宮市は、豊かな自然に恵まれ、広大な朝霧高原の酪農やわき水を使ったニジマス、日本一の標高差を生かした多品種の野菜など、古くから多くの食資源に恵まれ、それを大切にはぐくんでいます。そんな富士山の恵みと文化を誇りとする富士宮市は、平成16年からフードバレー構想を掲げ、市民と生産者、NPO、企業、大学が連携し、市を挙げて食のまちづくりに取り組んでいます。
 フードバレー構想の基本的コンセプトは、食の循環だそうです。食は、大地からの贈り物、つまり農業。また、農業はその土地の環境そのものであり、環境が市民の健康をつくり、健康は食から始まります。そして、その中心には、富士山のわき水を初めとするきれいでおいしい水があります。水を中心に、食、農業、環境、健康、食、この循環が健康に生きる源となるそうです。
 外国の先進地は、言うまでもなくオランダでしょう。オランダはもともと小国でありながら、農業では先進的な改良を行ってきました。世界で最も知られている乳用牛ホルスタインは、オランダ産、花卉類、特にチューリップでも有名です。オランダの農業は、世界でもトップクラスの農作物輸出国であり、アメリカに次ぐ輸出金額を誇り、特に酪農及び園芸はオランダの主要産業となっています。世界の花市場の6割の商品がオランダ産と言われています。
 さて、オランダでは、フードバレーの中核として、大学と民間企業が提携しているとのこと。伊藤忠商事とオランダ中西部ヘルダーラント州のワーヘニンゲン大学リサーチセンターは、このほど食料バイオ分野で締結することになりました。
 伊藤忠商事は、食料バイオを先端技術ビジネスの重点分野の一つに掲げており、今回の戦略提携で、双方が食品、バイオテクノロジー、ライフサイエンスの分野においても補完的に協力することにより、機能性食品、食品安全、農業技術、穀物関連、ニュートリゲノミクス(栄養遺伝学)、ニュートラシューティカル(毎日の生活にうまく栄養を取り入れ、健康を増進させる。また、栄養と医学を取り入れる考え方)、環境分野での共同開発、日本企業との共同事業、日本への技術移転、スピンオフベンチャー(技術、人材、資金など経営資源をベンチャーという形で分離させる方法。親会社との関係を保ちつつ経営するのがスピンオフ)への投資を共同推進することを目指しているとのことです。
 伊藤忠は、既に先端技術戦略のバートナーとして米国ロスアラモアス国立研究所、オーストラリアCSIRO、フィンランドVTTB、フランスのパスツール研究所などと提携しているそうですが、今回のワーヘニンゲン大学リサーチセンターとの提携を活用して、食料バイオ分野での新規ビジネスを推進しています。
 伊藤忠が先端技術戦略の提携パートナーをオランダから選んだ理由の一つには、ヨーロッパにおける新農業技術の開発や、食品健康分野における斬新な製品の開発にオランダが大きな役割を果たしてきたことが上げられるそうです。オランダは、食品研究に向ける研究開発の面では世界有数の国で、食品産業総売り上げの2%以上を年間研究開発費に投じています。中でもワーヘニンゲン大学は、西欧及び熱帯における農業技術において、広範な知識の集積と長年培ってきた実績があります。同大学はこれまで何十年にわたり、機能性食品やニュートラシューティカル、農業技術や食品安全など、食品や健康にかかわるあらゆる分野での幅広い科学研究で知られています。
 これまでは、ロンドンにある大洋UKが仕入れ、販売、あるいは海外の現地法人が直接欧州で販売を行ってきましたが、欧州市場の需要拡大をにらみ、販売網の構築と、販売の一元化による効率アップのために、物流の中心であるオランダに設立したそうです。
 ここでは、食に関するすべてが集約するフードバレーを目指している。世界の食品研究において確固たる評価を築いてきた結果、ワーヘニンゲン大学の周辺には食品関連の企業や各種機関が集まっています。その中には、ヨーロッパ唯一のアグリフード・ライフサイエンス分野の起業向けインキュベーター施設もあり、この施設を中心とする地域は、シティー・オブ・ライフサイエンスの異名を獲得しているそうです。
 この地域がフードバレーと呼ばれるようになったのは偶然ではなく、フードバレーは文字どおり食品、農業、健康をテーマとした専門知識の集積地であります。注目すべきは、企業、行政、研究機関の3者が緊密な協力体制にあることです。この協力体制によって、関係者すべてが持てる力を存分に発揮できるのであります。
 また、他の日本の企業、キッコーマン・ヨーロッパR&Dラボラトリーも、ワーヘニンゲン大学を含むフードバレー内の研究機関を有効活用するため、同大学の関連施設に研究施設を開設するそうです。
 フードバレーの先進地の事例を紹介いたしましたが、今後本市の手本となるものであります。富士宮市はどちらかといえば農産物の生産が主のようでありますが、本市では多くの研究施設を持ったオランダ型を目指すべきと考えます。
 さて、いただいたお答えでは、帯広地域産学官連携推進会議を再構築していきたいとありました。再構築とは、引き続きこの組織を使うのか、それとも新たな組織として立ち上げるのでしょうか。
 さらに、18日、他議員への御答弁の中で市長は、恐らくこれまでの中でどうしても越えられなかった壁は、具体的な成果のイメージとしてなかったんだろうな、産学官連携を振興します。何だかわかりませんよね。どこの大学との連携を10件、どの分野を必ずやりますとか、計画とはそういうものだと思いますけど、私はここが1つ越えておかなければならない分野ではないかなと思っておりますとおっしゃいました。まさにそのとおりです。
 私は、役所のスピード感のなさを、この後も述べさせていただきますが、たびたび指摘してきました。もう一度、市長がフードバレーとかち構想に取り組む姿勢、特に民間感覚のタイムフレームについての御所見があれば伺います。
 バイオ先端産業や技術研究も含めるとのお答えでは、関連産業の集積や帯広畜産大学を初めとする試験研究機関が多数立地し、バイオ等先端技術などにも取り組んでいる。これらの取組みによる成果や技術も、大きな地域資源であることから、関係機関と連携しながら活用に向け取り組んでいきたいとありました。研究の窓口を広め、民間企業が参入しやすい環境づくりには大賛成です。優良企業の参入を促すには、広く広報活動も行うことを要望いたします。
 フードバレー構想を実現するには、計画はもちろんのこと、現実問題として研究資金や運転資金がなければ進展いたしません。当然今までも都市エリア産学官事業では国から研究資金を受けており、それなりの成果を出すことができました。しかし、民主党の事業仕分けもあって、今後目的が明確でなければ、簡単に他の研究資金も受けることはできません。
 私は昨年7月、産経委員会で、R&B計画に対する予算がたった300万円で何ができるのかと質問しました。市の取組みの甘さを言ってきたわけであります。そのときのお答えでは、今回は仕組みをつくるということでございます。今回まずこの仕組みをつくるということで、直接的な事業展開を考えているわけではございません。そういった意味で、まずはこういった仕組みづくりをしっかりと21年度中に構築していきたい。今後の事業展開を有利にするためには、そういった事業制度をまずは申請して、そこで認められて、器をつくって、そして具体的に事業に進んでいく、そういうような戦略を練ってございますので、御理解いただきたいと思いますと言われました。
 しかし、21年度中に何ができたのでしょうか。R&Bは全く進展してこなかったと言っても言い過ぎではないでしょう。
 私はまた、仕組みづくりって言いますけども、一番大事なのは資金だと言ってました。資金なくては、大学に研究するにも研究してもらえませんし、それから企業が動くこともできない。この資金をいかに集めるかっていうことが大事なんです。
 先ほども仕組みづくりを今してると言いましたけども、仕組みづくりの中にこの資金の仕組みづくり、これを私は考えていただくよう申し上げていました。例えばNPO法人を立ち上げて、民間の企業から寄附金として無税の資金を調達する。それを使えるようにしてはいかがかと申し上げたことがあります。当然、国、道のそういう補助金がもらえればいいわけですけれども、簡単には来ない。みずから地域挙げて優良企業が研究意欲のある企業を応援する、そういうことが私は必要なんではないかと申し上げました。しかし、何を申し上げても市は動かない。あいまいな返事のみ。
 ところが、今年4月30日、政府は税制優遇特区を創設すると発表しました。特定地域で規制を緩和する構造特区にかわり、民間資金を活用する税財政優遇措置も加えた総合特区制度を、今月まとめる新成長戦略の柱にするそうです。素案によると、総合特区では規制緩和や許認可手続を簡略した上で、税制、金融、財政上の支援措置を新たに行う。具体的には、民間資金の積極的活用、政策資金の活用も含まれています。構造特区は自治体が主体でありましたが、今回は民間資金や発想を活用し、官民協働の推進を促し、民間の直接提案も受け入れるとのこと。また、本年度は医療、農業、環境を重点に受け入れる方針であります。まさに、私が昨年提案してきたことが実現されるわけであります。
 そこで、お伺いいたします。
 総合特区はどの部署で、いつからどのくらいの規模で始められるのか。総合特区はフードバレーに特化するのか。あわせて、私がこれまで指摘してきた研究開発に関する基金の設置についての検討状況についてもお伺いいたします。
 次に、口蹄疫の問題であります。
 本市での対応は、帯広市家畜伝染病自衛防疫組合を中心に、道や農協と連携して対応に当たるとこのことであります。宮崎の口蹄疫は、ついに5市6町に拡大してしまい、いまだ毎日発生が報告されています。当初、東国原知事は制圧に自信があると語り、2000年に発生したときの殺処分数が35頭にすぎなかったと強調しており、赤松農水大臣が外遊に出たのも、それを信じたからでありましょう。初期対応の遅延と危機管理マニュアルが確立していなかった、人為的ミスが招いた悲惨な結果であります。発生地域の人は移動もできず、2カ月も自宅にいますし、都城市商工会議所は、まちがとまったと残念がっています。畜産農家だけでなく、その影響ははかり知れません。
 このことから、十勝で発生した場合、地域経済への影響は甚大であることを受けとめ、全体像を早急に把握すべきであります。十勝農業産出額のうち50%を占める畜産業が立ち行かなくなった場合、管内すべての産業に影響が出ます。農業産出額をベースにした管内経済損失額の具体的な数字を求めます。
 口蹄疫検査における地元研究機関、特に畜産大学との関係はどうなるのか。口蹄疫はそれほど頻繁に発生するものではないため、研究者の不足も言われておりますが、それらの対応を国に対してどうなされようとしているのか。また、口蹄疫発生拡大に一番の問題となる野生のシカ対策についても伺っておきます。
 さて、市職員の意識改革につきましては、今御答弁をいただいたとおりだと感じています。さすが民間の感覚を取り入れ、今までにはなかった考えだと思います。ぜひその考え方で今後も大いに推進し、市民に安心できる市役所づくりをお願いいたします。
 人事評価であります。
 お答えの趣旨はわかりました。すべての組織には、成果に対する評価基準と行動に対する評価基準が必要です。この2つが補い合うことで、組織は全体性と一貫性を維持することができます。組織の成果とは、事業の目的そのものですから、すなわち組織として上げるべき成果がどれだけ達成されたのか、顧客にどれだけの価値を届けることができたのかを評価するものです。病院で言えば、治療、治癒した患者数、学校では社会に送り出した卒業生の数などです。市で言えば、どれだけ市民の要望にこたえられたか、事務処理をどれだけ早くこなせるのか、税金の無駄を省き、有効に使えるのか等であります。
 組織の行動基準とは、組織が大事にしている価値観や倫理観、規範などが組織の構成員にどれだけ浸透し、実行されているかを見ていくものです。病院では、患者の生命と健康を守り、安心をもたらすという医療チームとしての使命や義務、学校では学生の将来に心砕き、より影響力を与えようという教師としての使命やリーダーシップです。市では、市民に安心感を与えて暮らしてもらうことができる市役所づくりとなるのです。このような組織の成果基準、行動基準を一人ひとりに意識づけ、経営の成果の向上に向けて人を動機づけ、具体的な行動を促すもの、それが評価制度なんです。
 しかし、本市の評価制度への取組みは、余りにも遅過ぎます。前回私への答弁から進歩していない。評価に対する任免、給与への活用はどうなっているのか、具体的な実施計画をお示しいただきたい。
 行政コストの削減については、米沢新市長となってまだ間もないことから、すべてを把握しているわけではないでしょうが、今伺いました事項をスピードを持って改革できるところは実施していただきますようお願い申し上げます。
 私は、議会と民間人も含めて、民間の感覚で帯広版事業仕分けを考えてはいかがかとも思っています。この事業仕分けは、何もすべてを削るのではなく、足りないところには予算をふやし、無駄なところは削る必要があると考えていますが、いかがでしょうか。
 本年度、本市の予算は、補正も含めると過去2番目となる806億円でありました。しかし、その内容を見てみますと、必ずしも喜べる内容ではありません。自主財源の市税の割合は、平成18年30.4%、平成19年30.7%、平成20年29.8%、平成21年28.6%、平成22年26.1%と徐々に下がり、平成17年以降最低となり、三割自治さえ割り込んでしまいました。
 その一方で、民生費、衛生費、商工費、労働費等が前年以上の支出であり、本市財政を圧迫しています。地方交付税が唯一頼みという、まことに情けない状況になっています。特に、生活保護の支出は、平成18年62億円から、昨年は74億円、今年度は80億円と予想され、実に本市予算の1割になろうとしております。
 本市が直面する人口減、労働人口の減少は、市税収入減となるだけでなく、地域経済への影響ははかり知れず、購買力減、公共施設、病院や学校、全般的に削減される悪の循環の始まりであります。これを断ち切るには、新産業の創出をスピードを持って行わなければなりません。ここでもフードバレーとかちの早期実現が必要なのであります。
 現段階では、自主財源である市税の収入不足、不況による市税、国保、介護保険料の滞納による収入不足は深刻であり、一方、支出の増加は右肩上がりであります。財政の見通しが甘いと言わざるを得ません。その認識を伺い、2問目の質問といたします。
◎米沢則寿市長  それでは、お答えいたします。
 まず初めに、フードバレーについてのところでございますが、御指摘いただきましたように、今実施されておりますといいますか、日本、そして海外で実施されておりますフードバレーを称しておりますところの中で見ますと、やはり私がフードバレーとかちとしてこれから進めていく上での一番大きなモデルになるのは、オランダ型なのかなというふうに感じているところでございます。
 帯広地域産学官連携推進会議についての御質問でございますが、この会議は、帯広リサーチ・アンド・ビジネスパーク構想に基づきまして、国等の支援制度を導入するためのいわばプラットホームとしての組織でございます。産学官連携にかかわります主要なメンバーに御参加をいただいておりますので、この会議は継続してまいりたいというふうに考えております。
 それから、フードバレーとかちの推進につきましては、多少繰り返しになりますが、まさに食と農業を中心としたさまざまな取組みを総合的、積極的に展開して、この地域のよさ、優位性を発信し続けていくことがまさに重要なんだというふうに認識、考えておるところでございます。
 推進に当たりましては、産業部門ばかりではなくて、全職員が一丸となって取り組むよう、速やかに体制を強化いたしまして、今年度さらに調査検討も行いますが、その上で大枠の取組みについてまとめてまいることになりますが、同時に、できることはそこでとにかく初めていこうと。御指摘にもございました、民間との違いという御指摘がございましたけども、やはり計画がすべてコンクリートと、完璧なものにならないとなかなか進められないというところがございます。ただ、今ある中で進められるところは、もうどんどん進めていこうじゃないかと、そういう声を職員のほうに今かけておりまして、これからも今、調査検討という言葉を使うと、また1年調査検討かという印象を持たれるかもしれませんが、私はとにかくできるところは速やかにやっていくということも並行して今言っているところでございます。
 それから、総合特区につきましてでございますが、国では先ほどもお話しいたしましたが、次期の通常国会への法案の提出に向けまして制度の設計中であります。よって、引き続き情報の収集に努めてまいりますが、地域における食や環境などに関する取組みをより効果的に推進するために、特に国に対して本市の考えを積極的に伝えてまいりたいというふうに考えております。
 私、4月21日に就任させていただきましたけれども、これまで約2カ月の間に2度、東京の霞ヶ関の内閣府を訪れております。総合特区指定に向けまして、フードバレーとかちが何を目指しているんだと、その中における農、食、環境、そういうものをどうやっていこうとしているんだという考え方につきましてお話をさせていただいております。
 国の総合特区の設計思想といいますかデザインフィロソフィーと、フードバレーで私どもが目指していこうとするもの、その間の相性はいいんじゃないかなというのが、2回の訪問で局長の方と意見交換をさせていただいたときの私が今持っている印象でございますが、引き続きましてまだこれからの話でございますので、できるだけコンタクトを密にして、帯広市が考えてるところの実をお伝えしてまいりたいなというふうに考えております。
 また、お話のありました研究基金のあり方についてでございますが、その受け皿団体の設立手法等について、これまで確かに検討した経過はございますが、まずはこの地域で優位性のある研究開発を促進するために、国の競争的研究資金の獲得に向けて、骨太な研究開発プロジェクトを立ち上げることを優先して取り組んできているというふうに聞いております。
 御指摘の研究資金調達の必要性というのは、私十分に認識しているところと自負しております。御案内のように、私、これまでの25年ほどは、まさに民間の立場でこの種のリサーチ・アンド・デベロップメント用のファンドの組成、またはそれ以降の事業化のファンドの組成ということをずっとやってまいっておりますので、御指摘の必要性というのは本当に認識しているところでございます。
 これからこの地域にとってどんな仕組みがいいのか、それから国、道を初めといたしまして民間の既存制度と、それから御指摘のあったようなNPO方式であったり、また民間のリスクマネーの導入であったりというところを、皆様の御意見をまた伺いながら検討を進めてまいりたいと。おっしゃるとおり、フードバレーを進めるに当たりまして、この種のファンドの重要性というのは、繰り返しになりますが、認識しているところでございます。
 次に、口蹄疫についてでございますが、さきに口蹄疫が発生した宮崎県においては、発生地域から半径10キロメートル以内の畜産農家の経済損失額が、5月20日現在で796億円に達するという報道がなされております。宮崎県と十勝は、畜産の農業産出額におきましてほぼ同規模であるということから、仮に十勝におきまして発生した場合には、十勝の畜産農家の経済損失額も多額に上るというふうに推測されます。
 なお、帯広開発建設部が以前に実施されました調査によりますと、十勝地域の農業産出額の道内外への経済波及効果は7.7倍と試算されていることなどを考慮いたしますと、十勝のみならず、全国にも大きな影響が生じるものと推測されるところでございます。
 確認検査体制についてでございますが、6月14日の本会議におきまして産業経済委員会が提出されました口蹄疫の感染拡大防止徹底的な対応を求める意見書が可決されたところでございますが、この中にも産地近くの大学等研究機関における口蹄疫の確認検査体制の整備要請が含まれております。また、国の特定家畜伝染病防疫指針によりますと、口蹄疫の確認検査は動物衛生研究所で行うこととされておりますが、畜産、酪農が盛んな本市の地域事情をかんがみますと、地元の研究機関や大学での検査体制の整備が望ましいことから、関係機関と協議、要請をしてまいりたいと考えております。
 野生ジカの対策につきまして、6月9日に十勝総合振興局内に野生ジカの口蹄疫対策に関する情報管理の一元化を図るための情報収集評価組織が設置されました。野生ジカの食害による農業被害が拡大している観点からも、適正な個体数管理が必要であり、本市では帯広市農業施策推進委員会有害鳥獣部門で対策を検討するとともに、被害地区に対しましては猟友会に駆除を依頼しているところでございます。
 いずれにいたしましても、口蹄疫等の家畜疫病が発生することのないように、関係機関との十分な連携のもと、適切に対処していかなければならないと考えておるところでございます。
 次に、人事評価についての御質問をいただきました。
 人事評価制度は、御指摘のとおり職員の能力を向上させて、最大限に発揮するために必要な制度であると、そのためにいろいろな仕組みを導入するわけでございます。このため、現在行っている試行の中で最適な評価基準、それから項目を設定すること、これは私非常に重要だと思っておりますが、評価者の資質の向上と、これは単純にシステムを導入しても、評価をするほうの人間がきちんとそこについての認識かつ経験を積まないと動きません。そういう面で、評価者の資質の向上など今課題があると認識しておりまして、このあたりを解決して、しっかりとした制度を確立することが重要であろうと認識しております。
 評価結果を活用いたします具体的なスケジュールにつきましては、この試行の結果を検証した上で判断いたしますけれども、時間をかけず進めてまいりたいと考えております。
 また、市場化テストについてでございますが、民間提案によります公共サービスの改善制度といたしまして実施したモデル事業を通じまして明らかになりました効果や課題を検証し、今年度の本格実施につなげてまいりたいと考えております。
 また、事業仕分けについてでございますが、市が行う仕事の内容やその実施方法に対して、市民を初め民間からの御意見をいただき、生かしていくことは、大変重要であると認識をしております。そのためには、まず行政と民間が情報を共有して、民間からの意見を受けとめ反映させていく姿勢が特に必要であろうというふうに思っております。御指摘いただいているような職員の意識も、きちんと変えていかなければなりません。
 ただ、現在のところ、国が行っているような形での事業仕分けは考えておりませんが、さきにお答えいたしましたように、民間提案制度などの手法を通じまして、民間の感覚を取り入れていきたいというふうに考えております。
 最後になりますが、財政見通しについて御指摘いただきました。本市の財政環境が今日大変厳しい状況下に置かれていることは、十分認識しております。医療、介護といった社会保障関係費は、今後も増加を続けます。財政の硬直化が進むと想定しております。現時点におきましては、国における地域主権の動き、それから各種制度改正の動向が非常に不透明であることもございまして、確実な財政見通しを今ここでお示しすることは困難でございますが、決して楽観しているということではございません。
 以上でございます。

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質問3回目

24番(小森唯永議員) お答えをいただきました。
 人事評価制度の真の目的は、組織の目的である全体の成果、すなわち市民に価値を届けることに人を動機づけ、具体的な行動を促すということであります。知識とスキルを発揮させ、仕事を生産的なものとし、職員一人ひとりに実際に成果を上げさせることであります。
 人事評価の実施時期に関する御答弁では、試行の結果を検証し判断するが、余り時間をかけずに進めたいとのことであります。私が提案した2年前には、21年度に管理職の本格導入を図るとともに、一般職の試行を継続を行って、22年には全職員への本格導入を予定していると、このようにお答えしたのは米沢市長ではありませんが、当時の理事者のお答えでした。前市長時代での答弁とはいえ、答弁には責任を持ってもらいたい、そう申し上げたいと思います。
 今回も具体的な時期は明示されておりません。しかし、すぐにできる方法もあるんですよ。どういう方法か。民間に委託することなんです。民間では当たり前となっていることが役所にできないなら、民間に頼むしかない、私はそう思います。人事評価を請け負う会社はたくさんあります。また、人事評価ソフトもたくさん出てるんですよ。すべてのソフトがこの本市役所に合うとは思ってはいませんが、市長ができないと言うんだったら、これはやはり外部に委託するしかないのかなと、そう思っておりますが、今後速やかな実施を求めておきたいと思います。
 次に、口蹄疫問題であります。
 口蹄疫が宮崎県の畜産農家に与えた直接損害額が、昨日の時点で新聞発表されました800億円。恐らく地域における経済損失額は5,000億円を超えているんではないかと予想されます。宮崎県川南町では、全頭が殺処分、県全体の殺処分の予定数が27万頭ですから、十勝管内の乳牛、肉牛合わせた数36万頭に迫るような勢いであります。十勝管内で想定できる畜産農家に与える直接の被害額が1,260億円とすれば、帯広開発建設が実施した地域経済波及効果から見ると、経済的損失が7.7倍ということでありますから、そうすると9,700億円、この地域で損失が出る可能性がある。これは実に本市の予算の10倍以上で、致命的な損失額となるのではないかと思われます。これは大変なことであり、絶対に口蹄疫の蔓延は防がなければなりません。
 現在の宮崎の現状を実際に見た人の話を聞くと、とても現実とは思われないと、そう言っております。一瞬にして畜舎が空っぽになり、道の封鎖が始まり、地域の農家は外出禁止令、発生農家ですね、これは外出禁止令、地域もそうですけれども。家畜の全頭数の殺処分、埋却時の悪臭、家畜排せつ物の処理ができない、まちのゴーストタウン化、風評被害、はかり知れません。
 口蹄疫だけではないんですが、家畜伝染病の恐ろしさをいま一度認識する必要があるべきと思います。初期対応はもちろんですが、ふだんからの予防体制が必要であります。
 我が産業経済委員会では、議会を通じ、先ほども市長おっしゃいましたけれども、国に対して意見書を提出しました。その内容は、国と宮崎県は、今回特例措置と称し家畜伝染病予防法をみずから破り、家畜の移動を行いました。このようなことがないよう、法の遵守を求めること。また、地元の研究機関、特に地元の大学での検査体制ができるよう、その要望もいたしました。それから、北海道で大量にふえているエゾシカの一定量の駆除、これにより野生動物の感染を防ぐことなど、大きく分けてこれらを提起いたしました。
 万が一にも野生のシカに口蹄疫が感染すれば、北海道ではもう今後何十年間にもわたり牛や豚を飼うことができなくなってしまいます。これらは本市のみで対策をとることはできませんが、基幹産業の農業を守るという強い立場に立って、本市のとれる対応、特に国や道には強く要請をしていただかなければならないことを申し上げておきたいと思います。
 さて、フードバレーとかち構想であります。
 今までこれだけ明確に農業政策を打ち出した市長は、私の記憶にありません。北海道の食料自給率は、平成20年、ついに211%と200%を超えました。我が帯広は2006年度283%、十勝は1,100%と、十勝だけで人口の11倍、約400万人を養う食料を生産する、文字どおり農業王国であります。しかし、最初に申し上げたとおり、今後の十勝農業も盤石ではなく、農畜産物の自由化、石油等農業資材等の値上げ、価格の低迷、家畜や作物の伝染病の蔓延、異常気象と不安要素は数限りありません。この十勝農業をリードしなければならない本市の農業基本政策は、十勝の命運をかけた政策となります。このような中にあって、フードバレーとかち構想は、ぜひとも実現していただく必要があります。
 先ほどタイムフレームのお話では、今年度さらに調査検討を行い、大枠の取組みを取りまとめ、同時にできることから速やかに取り組んでまいりたいといただきました。非常に前向きな考えで、安心いたしました。市役所の頭脳をフルに活用し、さらに民間の知恵を出してもらえるような体制をいち早く構築していただきたい。
 役所というところは、計画、組織づくりは得意なんですが、実際に物づくりになるとまことに遅く、責任の所在がはっきりしない。一、二年で担当がかわり、また最初からやり直しなんていうことはよくあります。やる気のない人、できない人はすぐかえても、能力のある人は計画が終了するまで仕事を続けるよう、市長にはしっかりした人選をお願いするものであります。
 今回、国の提案を受け、やっと市も総合特区の活用を検討するそうであります。研究開発資金のお答えで、研究資金の調達の必要性は十分認識しており、国、道を初め民間の既存制度との比較検討をするとともに、大学等の関係者等の意見をいただきながら進めたいとありました。国との協議を今始めていると聞いて、それについては本当に安心しております。
 私は、屋内スピードスケート場のときのように、民間からの税控除された寄附金をこの事業に充てるべきとずうっと申し上げておりました。国から資金をもらうことも大事なんですが、やはり自分の地域は自分で守る、自分の仕事は自分でやるという考え方をまず最初に私は持たなければ、この事業も決してすぐに前進することはないと、このように思っております。私は、日本版WARFの設立をぜひとも考えていただきたいと思います。
 帯広版R&B構想が進まなかったのも、資金不足が大きく影響していると考えています。十勝農業が発展した大きな要素は、基盤整備の事業に多額の国の資金が入ったこと、農業の近代化にも国の資金があったことは言うまでもありません。要は、幾らいい考えや計画があっても、実際に動かせる資金がなければ何もできないということです。米沢市長が幾ら熱くフードバレーとかち構想を語っても、私は同じだと思います。市長の知恵ある決断と行動を求めます。
 最後に、市長になられてまだ2カ月。庁内すべてを知ることはできないと思います。民間との感覚の違いにも恐らく戸惑われていることだと思います。しかし、米沢市長は紛れもなく帯広市の経営者となられました。市政執行に当たって気負うことなく、しかも迅速にと相反することを言うのは、外野の勝手な言い分です。
 この先、どうしてこの道に来たのかなと悩むこともあるんではないかなと思います。しかし、米沢市長には、歴代の市長になかった能力と実行力があると私は思っております。それに立ち向かわなきゃならない宿命を背負わされたんです。この先、心身ともにゆとりというか余裕を持ってどうぞ市政執行に当たられるようお願いを申し上げ、私の質問を終了いたします。
◎米沢則寿市長  初めに、大変ありがたい激励、ありがとうございました。
 それでは、最後に今触れていただきましたことにつきましてお話しさせていただきたいと。
 先ほどもお答えさせていただきましたし、また議員のほうからも何度もお話に出てまいりましたけれども、まさに私、技術革新の成果というものがいわゆるドライビングフォースになって、産業は大いに発展してきているんだろう、これからもこの基軸は変わらないんだろうというふうに感じております。したがいまして、その根底にあります科学技術研究を活発化させていくこと、その成果を産業に結びつけるその取組みも本当に重要だと、そのために今回フードバレーというような言葉を使わせていただいているということを、改めてここで確認したいというふうに思っております。
 大学、それから公的機関、民間企業、そして個人のレベルに至るまで、今まさに世界じゅうで毎日新たなアイデアを形にしていこうということで、イノベーションといいますか、変革を研究者や技術者がしのぎを削って努力をしている、そういうふうな状況だと思っています。研究を効果的に進めるために、お話にございましたような仕組み、それからファンドというものを私は非常に重要だというふうに認識しております。
 手前みそな話になりますが、私もこれまで民間企業におりまして、シリコンバレーですとか、それからフードバレーというところはこれまでもお話ししましたが、長年ヨーロッパにおりまして、オックスフォード、ケンブリッジ、あの辺のリサーチパークとの接点は非常に多く持たせていただきました。その中でも一番印象に残っておりますのは、ワトソン・クリック、二重らせん構造、DNAの解明をしたそのクリック先生が、もう亡くなりましたけども、ケンブリッジでお会いしまして、その先生が絡んでおられましたいわゆるクローン羊、世界で初めてつくったドーリーというクローン羊がございますが、この会社に投資をしたのが、私のヨーロッパでの最初の仕事でございました。そのときからずっと感じていることは、やはり先ほど申しましたように、強いR&Dといいますか、研究開発施設、そこが非常にグローバルに戦っていく上では重要なんだろうなということであります。
 その後、日本に戻ってまいりましてから、北大、そして東大、筑波大学というところと一緒に、先ほどのファンドをつくりながら進めてまいりました。産業クラスターとも一緒に、戸田さんとも一緒にやってまいりました。本当にいろいろな、ただなかなか成功体験というのはその中で本当に少なかったんですが、また失敗の体験も一つずつ忘れずに、ここまで私の中に残っておることでございます。
 そういう経験から、私はこれからとにかく失敗が先に出ても、研究成果をとにかく事業化するための努力を続けてまいりたいなと、あきらめないことが重要だろうと、そのように感じております。議員御指摘のとおり、計画をつくるところまでも大変なんですけれども、まさにそこから実務に落としていくところが本当に大変なことだということを肌身にしみて実感しているつもりでおります。
 ウィスコンシン州の大学、マジソン校のWARFのお話をいただきました。私は直接には訪問させていただいたことはございませんが、関係者からのお話を伺ったというところで見れば、その中での考えでございますが、大変すばらしい成功事例だなというふうに感じております。機会がございましたら、本当に姉妹都市でもございますので、一度早い機会にお伺いして御教示をいただきたいなというふうな気持ちもございます。
 先ほどの私ちょっと失敗例ということでお話ししましたが、北海道大学と一緒に取り組んだTLO、テクノロジー・ライセンシング・オフィスという制度がございます。これは法制化のときには文部省と一緒に私、経産省と一緒に動きましたけれども、これがなかなか好循環につながっていないというのが今、日本における現状かなと。数日前の新聞にも、日本のTLOが今行き詰まって、少し方向転換をしているというような記事もございました。北大では残念ながら、昨年の春に装いを変えてしまったということがございます。これはまさに研究開発が行われる土壌ですとか環境、それから研究者が置かれている状況、これがアメリカですとかヨーロッパにやはりちょっとおくれているといいますか、ビハインドしているなという認識をしています。
 これ皆さん御存じだと思いますが、レーガン、それからサッチャーの時代に、かの国では大学の教授の給料を半分にしてしまったと、ざっくりしたお話ですね。残り半分は外で稼いでこいと、民間と一緒に研究をして、そこからお金をもらったらどうだと、そういうふうに大なたを振るいました。そうすると、彼らやらざるを得ないというところに持ち込まれてしまったわけです。先ほどの人事制度についての議員からの御指摘と相通ずるところがあると思いますが、やはり人というのはモチベーション、インセンティブというところで随分動きが変わるんだろうなというふうな認識をしております。
 ちょっといっぱいいろんなことを話してしまいましたが、そういう中で、私はフードバレーとかちを進めるに当たりまして、やはり民間におりましたので、一番すぐお金というのが頭に浮かびます。お金のことを横に置いてどんなことを言っていても、結局は前に進まないということをずっと真ん中に置いて生きてきた男でございますので、形はいろいろ御指摘いただいたところの研究もさせていただきますが、とにかくどれぐらいのお金が必要なのかな、お金のサイズ、それから資金の性格といいますか、それからしょうことのできるリスクの量と質と、こういうことをやはり検討した上で、御指摘いただいたような、とにかくお金もちゃんとバックにつくんだというような形でのR&Dを進めていただくような形で私も関与していきたいなというふうに思っております。
 ちょっと雑駁になりましたが、以上で終わります。