一般質問

平成26年第3回6月定例会

質問1回目

14番(小森唯永議員)  最初に、活力ある帯広中、フードバレーとかち構想の現状と課題についてお伺いします。
4年を経て、米沢市長の提案してきたフードバレーとかち構想の具体策が、私は見えてきたと感じています。しかし、一般市民の人々にはいまだよくわからないと言われる方が多くいらっしゃいます。そこで、いま一度市長から直接これまでの状況とこの4年間の実績をお示しいただきたいと思います。
次に、産業政策であります。
地域を豊かにし、活力あるまちにするためには、地域の産業を盛んにすることは当然であります。そのためには企業や事業者が元気になることが不可欠であり、そして地元企業の収入が上がり、元気になることで雇用が拡大し、活力が生まれ、地域の消費も盛んになり、自治体の歳入増加につながることになります。
しかし、さきにも述べたとおり、景気は国が示すほどよい状況ではなく、雇用の求人倍率は上昇しているものの、業種によっては厳しいところも数多くあります。本市は、農業を基幹産業としながら、これを支える産業があり、十勝の商業機能やサービス産業が集積しています。これらの産業をさらに充実し、付加価値を高めていくことが今後の産業振興政策の課題でありましょう。市長は民間出身であり、その意味では地域産業の振興がいかに大切かを身に沁みておられることでしょう。であるからこそ、その具現化に向けた政策としてフードバレーとかち構想を推し進め、基幹産業である農業を成長産業化させることで周辺の産業を育て、活性化を目指されるものと認識しております。
中小企業への産業振興に当たっては、中小企業を初めとする地域の産業力が基礎自治体の中・長期経営にとって重要と位置づけ、首長みずからが公約に産業振興を掲げる以上、議会、住民に対し産業振興の考え方と実行方針を明確に説明していただく必要があります。管内自治体の中小企業支援を初めとした産業振興のメカニズムがうまく働くように、役所内の人、物、金の最適な配置を考慮し、実行しなければなりません。また、市長のリーダーシップにより、中小企業の支援に関する伝統的な公務員の考え方、公平性の原則等を払拭し、意欲ある個別企業の成長支援を通じた経済財政基盤の強化という自治体経営の考え方に職員の意識を切りかえなければなりません。具体的には、成長が期待される意欲ある個別企業を徹底的に支援することにより、結果として企業成長による新規の雇用確保や他企業への発注増、税収増を通じた地元産業と経済財政の繁栄をもたらすことができるという基本姿勢を市長みずから確信を持って堅持し、幹部職員の意識改革を先導していくことが求められております。その上で、市長を先頭に副市長、部長以下市の幹部が、市政内部の政策や国等の制度を利用して産業振興の目的を効果的に達成するための方策を部下に指示して組み立て、政治力を行使して実現することになります。その際には箱物で形をつくることだけを考えず、中・長期的な産業振興にとっての資産となる人の育成と人的ネットワークを重視し、突破口となる成果実績、成功体験を生かすためのソフト事業の路線が基本となるはずです。
以上のことを踏まえてお伺いいたします。中小企業の振興策について、米沢市長はこのように述べられました。中小企業の経営基盤の強化や企業創業の支援、産業人の育成を図るほか、地域経済の好循環につながる企業立地等を促進してまいりますと言われましたが、アベノミクスの地方における影響も含めて、その基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、TPPにおける自治体の課題であります。
総合的、長期的視点の欠如した人々が、国の将来を危うくしつつあります。自己の目先の利益と保身しか見えず、周りのことも将来のことも見えていない。人々の命、健康、暮らしを犠牲にしても環境を痛めつけても短期的なもうけを優先する、ごく一握りの企業の利益と結びついた一部の政治家、一部の官僚、一部のマスコミ、一部の研究者が国民大多数を欺いてTPP──環太平洋連携協定──や、それと表裏一体の規制改革、国家戦略特区などを推進しようとしています。一部の人々の利益さえ伸びれば後は顧みないという政治が強化されたら、日本が伝統的に大切にしてきた助け合い、支え合う安全・安心な地域社会はさらに崩壊していくでしょう。TPP交渉は、幸いに今現在停滞していますが、いつ急展開するか予断は許さない状況にあります。
TPP交渉は、昨年に続き2月の閣僚会合の合意にも失敗し、少なくとも11月の米国の中間選挙が終わるまでは進まず、その後漂流するといった楽観論も広がりましたが、しかし過去の貿易交渉でも大丈夫と言われていたのに急展開したことは何度もあります。当初は安倍総理も期限を切らないと答弁し、2月25日のシンガポールの決裂の日の夜のテレビで、4月のオバマ大統領訪問時の決着の可能性について、ある閣僚は総理に牛肉、豚肉、チーズの関税がどうだという議論をしてもらうわけにはいかないと発言し、4月のオバマ大統領の訪日にあわせて安倍総理の最終決断で決着しようというシナリオが間に合わないことを強く示唆いたしました。しかし、安倍総理は自身が最終決断する美学を重視しており、国内の反対の声を押し切って、唐突に日豪EPA交渉開始を決めたのも安倍総理だったことを思い出す必要があります。
日本の交渉部隊は、国会決議を忠実に守り、よく頑張っているのではないかと言われていますが、本当にそうでしょうか。国会決議は破綻しているのではないでしょうか。国会決議には重要5品目を守ると書いてありますが、586品目ある586品目を守るとは書いていません。ここが問題であります。586品目のうち、どれから譲っていくのかのリストは、早くから準備されていたようです。現段階ではどこまで出しているか正確にはわかりませんが、関税が比較的低くてほとんど輸入に頼っているもの、逆に輸入実績がゼロで需要がほとんどないと見込まれるものなどから一定程度を関税撤廃リストに入れた可能性は高いはずです。ただし、586をどこまで削るかは、数合わせの側面もあり、米国としては実利が問題になります。特に米国の関心が最も高い牛肉、豚肉など重要品目の核の部分の米国関心品目について、ある程度の関税削減あるいは無関税、低関税の米国向け輸出枠の設定などを示した可能性はあります。
国会決議のもう一つのポイントは、決議には関税撤廃を許さないと書いてはありますが、関税削減や輸入枠の設定は否定していないと読めることでもあります。こうした約束は、国益の水準がいつの間にかごまかされてどんどん後退しているのではないでしょうか。突如決定した日豪EPAを検証してみると、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖など重要品目は除外または再協議の対象となるよう政府は一体となって交渉するという衆参農林水産委員会決議が行われたものの、国会での猛反対を押し切って、官邸主導で日豪EPA交渉開始宣言、2007年4月に行ったのは第1次安倍内閣で、今回の大筋合意を強行したのもくしくも安倍内閣でありました。牛肉、プロセスチーズなどの低関税枠の設定やナチュラルチーズの無関税化枠の設定は、やはり重要品目は除外または再考協議の対象という国会決議に反すると言わざるを得ませんが、日豪EPAで譲歩すればTPPで米国を同じ水準まで譲歩させられるから、日豪での譲歩はやむを得ないのだという雰囲気づくりが行われました。
しかし、これはTPPにおける重要品目は除外または再協議の対象も放棄することであり、二重のごまかしで、なし崩し的に守ると約束した国益をいつの間にか割り込んで後退させていることになります。この論理の矛盾が、米国のフロマン通商代表とのTPP協議で、一桁台まで下げろの要求ですぐさま証明されました。米国が日豪の結果以上の関税全廃に限りなく近い、極端な要求をしてくるのは目に見えていたからです。日本自身も日豪を上回る落としどころ、豪州の半分程度の関税率を米国に提案したようです。なお、日豪EPAには、他のFTAで日豪以上の優遇が生じた場合はそれを適用するとの最恵国優遇条項が入っているため、日米が9%で合意しても豪州も9%になるので、豪州は何も困らないことになっています。TPPの妥結を前提とすれば、日豪の合意を最低ラインにしてさらなる譲歩を重ねるしかなくなります。したがって、今覚悟を決めるべきは日豪のEPAの妥結水準が日本の最大限の譲歩であり、TPPでもこのレッドライン以上は1ミリたりとも譲れないと突っぱねてTPPを頓挫させることであります。
ただでさえ既に飼料価格の高騰と長引くTPP交渉の先行き不安から投資計画が立てられずに廃業する畜産酪農経営がふえてきている中、日豪で国会決議に反した譲歩してしまったことによる損失に加えて、TPPでさらなる譲歩がなし崩し的に進むことの不安が、雪崩減少を起こしかねません。豪州に対する譲歩でTPPを乗り切れると言い切ったんですから、せめてその最低ラインを死守することを確約した上で万全の国内対策を表明するべきであります。
牛肉の関税削減の影響は、乳用種価格はもちろんですが交雑種や和牛にもある程度価格の下落を引き起こし、酪農家の子牛販売収入も減少させます。関税収入の減少の一方で、生産コストと粗収益との格差補填の単価や鶏肉の価格下落にもつながります。酪農経営については、さらにチーズなどの乳製品価格の下落や加工原料乳の下落を引き起こします。補給金単価が固定的な現状では、これに十分対応できないので、生産コストと市場価格との差額を収縮的に補填する仕組みに変更する準備が不可欠ではないでしょうか。
安全面では、輸入農産物に使用される防腐剤や防カビ剤などのポストハーベスト農薬についても日本の基準が厳し過ぎるからもっと緩めるよう米国から求められています。また、日本では収穫後の農薬は認められていないので、米国のために食品添加物に分類したのですが、今度はそのため食品のパッケージに表示義務があることが米国の輸入食品の販売を不利にするとして、防カビ剤などの分類を食品添加物から表示義務のない残留農薬への変更を要求されています。表示に関しては、地産地消の運動で国産や特定の地域産を強調した表示をすることが、米国は科学的根拠なしの差別するものとして攻撃される可能性もあり、フードバレーとかちの呼称すら危うくなる可能性が考えられます。
要するに、米国企業に対する海外市場での一切の差別を認めない、このことがTPPの大原則なんであります。TTIP、米国とEUのFTAでは、米国はパルメザンチーズなどの地理的表示を問題視し、係争になっています。
そこでお伺いいたします。
農業の将来においては、TPPは本市農業の根幹にかかわる問題であることは疑う余地もありませんが、TPPにおける自治体の課題について市長はどのようにお考えでしょうか。
次に、快適に暮らせる帯広であります。
近年の気象環境は、異常につぐ異常であります。今月、真夏並み以上の暑さを道内は記録いたしましたが、本州各地ではこれまた異常な豪雨による被害続出であります。十勝地方においても春先の干ばつ、今は本州の梅雨並みの長雨等、農業を不安に陥れている心配事であります。
私たちは気象変動、地球温暖化対策を個人でも企業としても、また自治体としても真剣に取り組む必要が不可欠な状況であります。地球温暖化の結果、自然への影響は洪水の氾濫、干ばつ、水質悪化等、自然が及ぼす影響は農林漁業、加工、観光、工業に重大な影響を及ぼし、しいては経済社会全般への甚大な被害を及ぼすだけでなく、健康、安全・安心、意識、行動、財産価値の変化と個人の家計への大きな負担となってきます。地域産業、地域社会への影響を最小限にとどめるためにも、地球温暖化対策をしっかり取り組まなければなりません。
それには、気候変動の人為的な要因の改善として、温室ガスの排出抑制と再生可能エネルギーを中心にスリムな低炭素社会の実現を目指す緩和策をとらなければなりません。緩和策を実施したとしても回避できない影響に対し、脆弱性の改善による気候変動と折り合える適応社会の実現を目指す適応策を立てなければなりません。
気象変動は、これまでの気象災害を増幅させ、今後経験していない被害が発生する可能性があります。人類の危機だと知ることが必要であります。そして、気象変動は既に始まっている危機であり、最大に緩和策をとったとしても気象変動は進行すること、気象変動の影響は地域によって異なり、寒冷地ほど大きく、地域ごとに気象変動の影響を把握することが大事であります。最も厳しい緩和策の努力をしても、今後数十年は気象変化のさらなる影響を回避することができないため、適応策の実施は不可欠であります。日本の適応策は、先進国に比べて5年はおくれておると言われております。ようやく適応国家戦略の検討が開始されたところでありますが、一方適応策に先進的に取り組む地方自治体も出てきました。帯広市は、環境モデル都市やバイオマス産業都市の認定を受けていましたが、本市の取組み状況がいま一つはっきりとは見えていません。
そこでお伺いいたします。
気象変動、地球温暖化対策に対し、また自立環境型の地域づくりに対して、米沢市長はどのような対応を考えられているのでしょうか。また、快適に暮らせる帯広の中で、市長は再生可能エネルギーの利用を進めるなど環境モデル都市やバイオマス産業都市の取組みをさらに推進し、環境負荷の低減を図りながら産業の振興につなげ、十勝をあげて自立環境型の地域づくりに取り組んでまいりたいとありましたが、これについても基本的なお考えをお伺いし、1問目の質問といたします。
◎米沢則寿市長  小森議員の代表質問中、初めにフードバレーとかちについてお答えいたします。
十勝帯広では、恵まれた環境のもと農業を基幹産業として発展し、安全・安心で良質など基本的な価値を有する農畜産物が生産されてきました。この強みを生かし、フードバレーとかちの取組みを進める中では、生産基盤の着実な整備はもとより良質堆肥による土づくりのほか生産工程の適切な管理など、これまで受け継がれてきた十勝の価値のさらなる磨き上げに努めてまいりました。こうした取組みを通じて、内外の消費者や事業者の皆さんからは十勝に対する信頼感、安心感、さらには期待感など高い評価をいただいているところであります。
このような中、この十勝という価値を生かし、地場産の畜産物を使用した加工食品の商品化が行われているほか、食品製造工場や配送センターが建設されるなど、十勝の食に対する付加価値の向上に向けた取組みが進められてきております。
また、こうした十勝の価値を内外に売り込むため、首都圏向けのほかシンガポール、マレーシアなどの東アジアをターゲットに地元関係者の連携による販路拡大に向けた活動が行われ、新たな取引につながるなど事業者みずからによる動きに結びついてきております。
さらには、市内の食品加工業者において北海道の食品衛生管理基準の認証取得に向けた取組みが進められているほか、輸出対応に向けた食肉処理加工施設の整備も進められるなど、十勝産加工食品の国内外へのさらなる販路拡大に向けた設備投資なども活発化しております。
このように、十勝の強みを生かして事業展開していこうという機運が高まってきており、地域産業の基幹である農業を源流に生産、加工、流通、販売に至るまで物、人、組織そして価値の連鎖が強まり、地域の優位性を生かした十勝型フードシステムの形成が進んでいると実感しており、今後もさらに取組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、地域経済の現状についてお答えいたします。
帯広財務事務所によりますと、十勝管内の経済は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見られるものの、設備投資や雇用情勢などの関連指標を中心に持ち直しの基調にあるとされております。一方、昨年度帯広市が実施した産業経済実態調査によりますと、売り上げが下降傾向にあると回答した事業者が約4割に上ったほか、原材料費や燃料費等の高騰に伴う利幅の低下や幅広い業種における人手不足が見られ、先行きに対する不透明感から設備投資等を手控える傾向も伺われております。
このように、現時点においては十勝管内の経済の持ち直しの動きが中小企業に広く行き渡るまでには至っていないものと認識しております。
次に、TPPについてお答えいたします。
本年4月の日米共同声明以降もTPP協定交渉の動きが加速されておりますが、十分な情報提供がなされず、具体的な議論を行うこともできない状況であります。また、さきに大筋合意した日豪EPAにおきましても、国内農業を守るための支援策について何ら示されないままであり、農業者の将来への不安は大きくなっております。十勝は農業を基幹産業とし、関連する食産業や運輸流通量が幅広く集積した地域であるため、TPP協定によって地域経済はもとより食の安全や医療など住民の暮らしに大きな影響を及ぼすことが懸念されております。特に日米2国間交渉に関する報道におきましては、十勝の農業産出額の半数以上を占める畜産物の関税が交渉の中心となっているとのことであり、耕畜連携が図られている十勝帯広においては酪農畜産はもとより農業全体に大きな影響が及ぶものと考えております。
次に、地球温暖化対策についてお答えいたします。
昨年発表された国連の報告によりますと、近年における異常気象は人為的な温室効果ガスが温暖化の主な原因と見られるとされております。これまで帯広市は環境モデル都市としてCO2の大幅削減の高い目標を掲げ、低炭素化と持続的発展が両立する地域モデルの実現に向けて地域の自然環境や資源を最大限に活用しながらさまざまな取組みを進めてまいりました。
今後におきましても、太陽光発電などを初めとする再生可能エネルギーのさらなる導入やバイオマスを活用したエネルギーの地産地消などに取り組み、環境モデル都市としての役割をしっかりと果たしながら、地球温暖化対策に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、自立循環型の地域づくりについてお答えいたします。
十勝は多くの日照量や水資源などの自然環境にも恵まれた地域であるほか、大規模な畑作や酪農畜産業が展開され、広大な森林に囲まれるなど豊富で多様なバイオマスを有しております。こうした地域の特色や特徴を最大限に生かし、新たな産業や雇用の創出につなげていくため、昨年バイオマス産業都市に地域として十勝が認定され、さまざまな取組みを進めているところであります。
今後におきましても、環境負荷の低減と自立循環型の地域づくりに向けて環境モデル都市やバイオマス産業都市の取組みを一体的に進め、環境に優しい個性と魅力のある地域社会の形成を目指してまいりたいと考えております。

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質問2回目

14番(小森唯永議員)  2問目の質問をさせていただきます。
フードバレーとかち構想について御答弁をいただきました。フードバレーとかち構想が、幾つかの柱により取り組まれてきたことが示されました。大きく分けて3つぐらいありましょうか、1つ目として農林漁業を成長産業にするので農地の基盤整備、共同利用施設の整備の支援、それから生産基盤の整備に取り組んできたと。また、食の価値を創出するでは、食関連企業の新商品開発や工場の新増設に対する支援、加工食品の商品化、畜産加工場の新設、また十勝の魅力を売り込むことで首都圏を中心に大消費地や東アジア等輸出に向けた実績とPR活動を積極的に行ってきたということが今報告されました。
私は、この4年間、フードバレーに関しては随分しっかり取り組んできたと評価させていただきたいと、このように思います。しかし、このフードバレーとかち構想を進める上で、今私は少し暗雲が立ち込めてきたのかなと、そのように思っております。これは、やっぱりTPP交渉、これはまだ未締結なんですが、オーストラリアとのEPAは成立しております。今後、安価な農畜産物が輸入されることは間違いありません。また、農業用生産資材、肥料、飼料等の高騰、農業臨時雇用者の不足、これらは大変厳しい状況が今の農業に待ち構えてるのかなと思っております。
豪州などとのEPAの締結の結果、価格面では太刀打ちできない、これはもうはっきりしております。今後は、他地域にない付加価値をつけた農畜産物の販売が求められてるわけであります。安全・安心はもとよりどこにもない食味と、価格面でも国際競争力のある商品開発が求められているわけであります。
十勝ブランドへの期待も高まっている中で、十勝産小麦やチーズで取り組んでいる十勝独自の加工農産物、あるいは新品種の野菜の開発、高価格の薬草等であり、畜産では国内で飼育頭数が全国一を誇る乳牛、肉牛などまだまだ十勝産でも素材を生かせるものがあるとは思っておりますが、いずれにしましても楽観できる情勢でないというのは、これは誰もが思ってるところじゃないかなと思います。
そこでお伺いいたしますが、今年度新たに取組みを考えられているフードバレーとかちにつながる政策があれば、この際お伺いしておきたいと思います。
次に、産業振興についてもお答えをいただきました。管内企業は持ち直し基調にあるとされてますが、売り上げが下降傾向にある事業者が約4割、それから原材料や燃料費の高騰に伴う利幅の低下、著しい人手不足など、かなり厳しい状況にあることも報告されました。中小企業は農業とは違い、国からの補助金がほとんどなく、経営が行き詰まればもう廃業しかありません。一つの企業の倒産が負の連鎖となって、地域経済に深刻な影響を与えることは容易に想像できます。産業振興策の具体的な対応がはっきりと今示されておりませんでしたので、私から幾つか提案させていただきたいと思います。
地域の内外に開かれた出会いと交流の場づくりを軸に、多様な産学官の人的ネットワークをまず形成していただきたい。それから、特に地域に根差したネットワーク型の交流組織やNPO的な活動基盤などを通じて民間企業間及び産学官の相互に顔の見える連携ネットワークを形成し、産学官共同研究や新規事業家等の実際に担い手に支えられた実効的な産業振興策を展開するように望んでおきたいと思います。特に創業、ベンチャー企業の支援や新事業創出といった新たな産業の創出につながる産業振興策の実施に当たっては、管内外の経営資源、産学官のネットワーク等を最大限に生かした継続的かつ系統的な取組みが必要でありますし、このためにはビジョンを持ったキーパーソンによるネットワーク間のコンビネーションが求められるのではないでしょうか。
産業の振興は、地域を挙げて図らなければならないのはもっともな話でありますが、さきの御答弁にも具体的なことは示されておりませんでしたので、もう一度中小企業の振興策についてお伺いしたいと思います。
次に、TPPであります。
食料について、国内生産が縮小しても貿易自由化を推進すべきとする自由貿易の利益と言っている人がいますが、私はこれはとんでもないことであると思っています。各国が国内の食料生産を維持することは、短期的には輸入農産物よりも高コストであるかもしれません。しかし、輸入規制が数年も続くようなことになれば、お金を出しても食料が買えない不測の事態のコストを考慮すれば、実はこれ国内で生産維持するほうが長期的にはコストは安いと見られています。
食料は軍事、エネルギーと並んでまさに国家存続の3本柱だという、世界的にはそう言われてるわけですが、日本ではその認識が非常に薄く、世論調査では、高くても国産を買いますかに90%の人がはいと答えるのに自給率は39%というのが日本人であり、日本人は言葉と実際の行動と違うということがはっきりしています。日本ほど安ければいいという国民はいません。
生産サイドの関係者も、自分たちの生産物の価値を、農がここにある価値を最先端で努力して、まず農業者みずからが伝えていかなければならない、これも問われているんだと思います。
1次産業をおろそかにしたら、国は成り立ちません。ハイチ、フィリピンで2008年に何が起こったか。米の在庫は世界的には十分ありましたが、不安心理で各国が米を売ってくれなくなったために、お金を出しても米が買えなくなった。これは、米国に言われて米の関税を極端に低くしてしまったため、輸入すればいいと思ってたらこういう事態になったわけなんですね。その結果、死者まで出たという話です。
これは、日本でも他人事ではありません。ブッシュ前大統領が、アメリカの農業関係者への演説では日本を皮肉るような話をしていたそうです。食料自給はナショナルセキュリティーの問題だと。皆さんのおかげでそれが常に保たれている米国は、何とありがたいことかと。それに引きかえ、自給できない国を想像できるかと。それは国際的圧力と危機にさらされてる国だと述べておりました。米国の食料戦略の一番の標的は、農民運動の過激なEUではなく日本だとも言われておりました。米国のウィスコンシン大学の教授が、農業経済学の授業で、食料は軍事的物資と同じ武器であり、直接食べる食料だけでなく畜産物の餌が重要であると。まず、日本に対して、日本で畜産が行われているように見えても、餌を全て米国から供給すれば完全にコントロールできると。これを世界に広めていくのが米国の食料戦略と。そのために皆さんも頑張れという趣旨の話をしたそうです。これが米国にとっての食料の位置づけなのだということを我々は意識しなければなりません。
つまり、第2次世界大戦後、余剰小麦の援助なども活用した日本の食生活変革を通じて、アメリカの小麦や飼料穀物、畜産物なしでは日本の食生活が成り立たなくなるように仕向けられた食料戦略でもありました。日本の食料率が既に39%まで低下して、食料の量的確保についての安全保障が崩れていること自体が、同時に食料の質的な安全保障も崩されている事態を招いているのであります。TPPは、食料自給率のさらなる大幅な低下につながり、食の安全基準のさらなる緩和も求められている協定が、日本の食の量的かつ質的な安全保障の崩壊にとどめを刺すことになるでしょう。
米国にとって食料は武器、世界をコントロールするための一番安い武器と認識されています。それによって我々は振り回されているし、これからはもっともっと振り回されるでありましょうということを考えなければなりません。米国では、米と小麦とトウモロコシの3品目だけでも1兆円の差額補償をして安く輸出し、農家の生産も支えています。米国はもともと安い農産物をさらに1兆円も使って安く売りさばき、一方日本の農産物はおいしいのですが高いので、安く売ることができません。それで、安く売るための輸出補償金はゼロであります。しかも、TPPで米国の1兆円の輸出補助金は使い放題で、日本は全ての関税を撤廃されるのであります。日本の農産物ももっと輸出しようと言いますが、輸出競争でも勝負になりません。不利な状況なのであり、日本の輸出促進のためのお金が使えないのはなぜか。それは、米国から、日本は使ってはだめだと言われているからであります。事故米もそうであったように、なぜ食べられもしない米を全量輸入して壁を外さなければならないのか。最低輸入義務とはWTOの協定のどこにも書いてないのに、日本だけがやっています。その本当の理由は、米国から指示されているからだと言われています。
農業は過保護だからTPPでショック療法しかないといった農業攻撃の本質は、農業を悪者にすることによって貿易自由化を進めることで利益を得る輸出産業や、海外展開している企業の側に属する人々の、事実に反する意図的なネガティブキャンペーンの側面が強いことを認識する必要があります。既得権益を守るために規制緩和に抵抗しているという攻撃も常套手段ですが、それこそ大企業応援だけしか見えぬ人たちが市場を奪うために仕組んだ策略であると言わざるを得ません。というのも、輸出補助金の1兆円対日本のゼロにも示されてるように、既に日本の農業は過保護ではありません。日本の農業保護制度は、世界的に見てもかなり低いのであります。農業に高齢化などの問題があるのは確かですが、日本は過保護だから高齢化したのではなく、過保護なら所得が多く、もっと多くの若者が継ぐはずであります。むしろ真実は逆で、世界一の優等生としてWTOのルールを厳格に受けとめ、関税も国内保護も削減し続けたために高齢化などの問題が生じてしまったんです。つまり、農業は鎖国してきたのだから、もっと開放しなければいけないというのもうそであります。国民の体の原材料の61%は、もう海外に依存してます。原産国ルールでいえば、日本人の体はもう国産と言えないほど市場開放されているのが事実です。
誤解されていますが、野菜の関税は3%に象徴されるように、日本の農産物の9割の品目は低関税なのであります。平均関税率は12%でEUの半分程度、世界的に見ても低い水準であります。しかも、我が国の農業所得に占める補助金の割合は20%にも満たないのに対し、EU各国は農業所得の95%が補助金であります。我が国では既に廃止された穀物や乳製品価格が低下したときの政府買い入れによる価格維持制度も、欧米では維持されています。命を守り、国土を守り、国境を守る産業をみんなで支える覚悟が欧米にはあります。日本の農業は過保護だから苦しくなったのではなく、その逆で、欧米農業は競争力があるから自給率が高いのではなく、徹底した食料戦略があるからなのであります。一般に言われているとは逆であることを知っておくべきであります。
こうした状態で、全ての関税を撤廃するTPPで、残りの1割が、最後のとりでが崩されれば、小麦、酪農、食肉、ビート、ジャガイモなど土地条件、特に面積に絶対的に制約される土地利用品目の生産が大打撃を受けます。TPPに参加して、その流れを加速、完結してしまったら、攻めの農業や農業の体質強化どころか、その前に息の根をとめられてしまいかねません。それならば、かわりに土地の制約を受けにくい野菜や花をつくればよいのではないかという見解もありますが、しかしそれらの生産に集中すれば、2割の増産で価格は半分に暴落してしまいます。そうやって何をつくったらいいのかわからない状況が全国に広がり、地域経済は崩壊へと向かいます。
先ごろ、安倍内閣は、農産品の輸出目標額を今の1兆円から5兆円までふやすと発表いたしましたが、本当にできるでしょうか。米国やオーストラリアといった他国との土地条件の圧倒的な差を無視した上で、規模拡大をしてコストダウンをし、輸出で経営を伸ばしていけるようになるというのは、現場の実態を無視した机上の空論であります。輸出によって賄える収入は、農家収入のごく一部にとどまる場合が多く、輸出だけで経営が成り立っている農家はないでしょう。よって、日本全体の輸出が伸びる前に、TPPによる安い小麦や米の流入によって国内販売が縮小し、経営難に陥るというのが現実であります。TPP問題は、基本的に国と国の問題であり、地方自治体の権限が及ばないのが現実でありますが、しかし地方にとっては死活問題であり、我々地方自治体としても地域経済を守る責務があるわけであります。
そこで、市長に再度十勝農業への思いと認識をお伺いいたします。食料供給の責任、食の安全性、食の価格、十勝産ブランドとISD条項に関するお考えをお願いいたします。
次に、環境モデル都市とバイオマス産業都市の取組みの状況を伺いました。
気象変動の影響は、地域経済や社会生活に多大な影響を与えるのは明白であります。本市でも近年ビートの糖度不足、病害虫の多発は多分高温による影響と言われており、今後さらに被害が多発すると予測されます。また、気温の上昇により高齢者の熱中症も今後大きな社会問題となるでしょう。
国のいうバイオマス産業都市とは、経済性が確保され、一貫システムを構築し、地域の特色を生かしたバイオマス産業を軸とした環境に優しく災害に強いまちづくりを目指す地域であると言えます。全国区で多数の応募から選ばれたバイオマス産業都市や環境モデル都市には、国からの支援もあり、積極的に取り組んでいるところもありますが、選定にもれたところでもしっかり取り組んでいるところもあります。
私は、十勝帯広がこの地域エネルギー政策であるバイオマス産業都市に選定されて以来応援してきたつもりであります。しかし、本市の取組みは残念ながら名ばかりの机上の計画であると言わざるを得ません。私は、何度も指摘してきましたが、本市の対応には一貫性がなく、場当たり的な政策であります。管内ではバイオマス発電も行われておりますが、本市ではゼロであります。
このような状況の中で、私はよそに目を向けてみたとき、時期を同じくして認定を受けた道内の林業のまちである下川町の政策の進捗状況を観察してきました。下川町が目指すバイオマス産業都市は、半世紀にわたり築き上げてきた森林バイオマス資源を最大限かつ最大効率で利用する一貫システムを構築しながら、バイオマス総合産業都市を軸として、環境に優しく降雪、厳寒、異常気象などの災害に強いエネルギー完全自給型の地域づくりを進め、雇用の創出と活性化につなげ、域内の生産を高め、地域に富が還元され、そして富が循環されるまちづくりを実現すると伺っております。この構想の具現化を図る取組みとして、地域の豊富な木材資源を最大効率かつ最低のコストで利活用可能な一貫システムを構築する林業、林産システムの革新、木質バイオマス発電を初めとする小規模分散型再生可能エネルギーの供給システムの整備、また柳等の自然作物栽培の事業化、BDF製造事業の拡大、薬木、薬草等の未利用森林資源等の新用途加工を掲げているそうです。また、同町の公共温泉におけるバイオマスボイラーの導入、その後幼児センターや高齢者複合施設への導入をし、今では1,600万円のコストの削減と900トンのCO2削減効果を生み出していると伺っています。そして、同町ではバイオマス活用効果の見える化として積極的な取組み、子育て支援事業とバイオマス施設整備に充てる基金制度を平成25年から導入しているそうです。さらに現在高齢化が著しく進む同町において、若者等の自立的かつ安定的な生活を実現する集住宅モデル構築のため、環境負荷低減型のコレクティブハウスの建築と木質バイオマスエネルギー等による社会コミュニティの再構築を目指す構想も進められているそうです。
また、管内においても足寄町では庁内の暖房は全て木質ボイラーであり、今年度からは地熱発電にも取り組むとのことであります。鹿追町、士幌町、大樹町ではバイオマス発電も積極的に取り組んでいます。
今お答えいただいた内容では、気象変動や地球温暖化対策に対してもバイオマス産業都市に関する取組みにしても非常に抽象的であると言わざるを得ません。
そこで、再度お伺いいたします。
地球変動における適応策について、農畜産物の対応も含めどのように考えられているのかを再度お伺いいたします。
本市環境モデル都市行動計画における二酸化炭素排出減の目標に対する実績はどうなってるのでしょうか。本市排出量もあわせてお伺いしておきます。
本市が行った二酸化炭素排出量削減に向けた取組みについても伺っておきます。
最後に、地球温暖化対策における環境対応に関する研究は、今全国各地で行われておりますが、本市では新技術も含めた新たな取組みにどのように対応しようとしているかについてもお伺いし、2問目の質問といたします。
◎米沢則寿市長  初めに、フードバレーとかちについてお答えいたします。
今年度の新たな取組みということでございました。
十勝の農畜産物や加工品のさらなる付加価値向上に向けまして、地域の農畜産物から抽出したいわゆる機能性食品素材など、産学官の連携によりましてこれまでの研究成果を活用した新商品の開発を一層促進してまいりたいと考えております。
また、十勝産食材のさらなる販路拡大ということに向けまして、農畜産物や加工品の市場への効率的なアクセスなど流通販売における地域課題の改善に向けた取組みを進めることによりまして、地元事業者の競争力強化につなげてまいりたいと考えております。
次に、中小企業振興につきましては、中小企業者が多くの課題をみずから乗り越え、果敢にチャレンジを続けていけるよう、今年度帯広市産業振興会議を中心に行政と中小企業者が協働でビジョンの見直しを行うこととしております。日ごろから多くの企業経営者の方々と意見交換する機会がございますが、先日も産業振興ビジョンの市民フォーラムに参加をいたしました。中小企業経営者の皆さんの御意見なり、またはフォーラムの先生の話を伺ったところでもございます。このフォーラムを通じまして、今後の中小企業振興に向けて民間と行政の役割を明確にした上で具体的な施策へと進展させなければならないと感じているところでございます。
また、地域経済の好循環を生み出すためには、地元農畜産物の高度加工に取り組む地場産業などへの支援、そして物流システムの効率化、女性や高齢者などを含めた地域に貢献できる人材の発掘が重要と考えております。
今後の新たな方策につきましては、こうした視点を持ちながらビジョンの見直しの議論を具体化してまいりたいと思っております。
先ほど議員のほうからございました御提案についてでございますけれども、先ほどの御提案、まさに産学官の連携の場といいますか、連携ネットワークというお話をいただきました。従前札幌であったり東京のほうにはビズカフェとか、そういう動きと同様のものかなというふうに感じておりますけれども、まさにフードバレーとかちの目標は、考えているスキンはそういうことなので実はございます。
いわゆる市場の収奪ですとか市場分割という形でビジネスをつくっていくのではなくて、新しい市場を創造していかなきゃならない、新しい価値を創造していかなければいけないよと、そういうものを地域でしっかりやっていく仕組みをつくっていこうじゃないかと、これがフードバレーの考え方です。ですから、シリコンバレーと同じようなモデルと言われますし、オランダのフードバレーも同様なのであります。人材の集積を図る、それはその人材がそこで一生かけてもいいよと、頑張ってやろうと、そういう仕組みをつくらなくちゃいけない。それが産学官の連携のエッセンスなんです。今まではそれぞれが新しい価値を生み出すというよりも集まって何か話してるだけなんですよね。それを競争力のある、素材のあるこの地域で、食の分野で、農の分野で新しい価値創造をしていこうじゃないかと。そこに未来志向の起業家をどう集めてくるのかと。成長志向の事業をどうつくっていくんだと、これが中小企業政策、いろんな中小企業ございますけれども、今新しくこれから生き残っていくための雇用をつくっていくのは、まさにそういう中小企業の政策が必要なんではないかなというふうに考えているところでございますので、今御提案のありましたところは全く軌を一にしている考え方でありますので、具体的にその場をどうつくっていくのかというのは今期これから始まるところでありますので、またよろしく御協力いただければなというふうに思っております。
次に、TPPについてでございます。
TPP協定につきましては、これまでも十分な情報提供や国民的議論が尽くされていないと、国民不在の状況は変わってないというふうに認識しております。こうした状況の中で、関税交渉がクローズアップされておりますけれども、交渉分野、まさに御指摘のとおり多岐にわたるため、地域社会への影響と、これも甚大であるなという認識をしております。地域の産業経済や住民生活に支障が生じると見込まれる場合、繰り返しになりますけれども、これは交渉から撤退するなど万全の対応を行うよう求めてまいります。
これまで幾多の困難を乗り越えて築き上げてきた十勝の農業だというふうに認識しておりますし、これは地域経済は力強く支えてきていただいております。それと同時に、安全でおいしい農畜産物を安定的に生産するという、この日本一の農業を実践しているわけであります。我が国の主要な食料生産基地として大きな役割を果たしていると、それをもう再度確認していくべきことだというふうに思っております。
今後も社会経済状況、そしてそのときのニーズに的確に対応しながら力強い農業の実現を図っていく。地域の発展はもとよりでございますけれども、日本の食料生産基地として貢献していくことがここ十勝帯広の使命であると、かように考えているところであります。
次に、地球温暖化についてでございます。
温暖化や異常気象による農作物への影響ということでございますが、これも御指摘ございました、ビートのような寒冷地作物においてその影響が心配されているところでございます。近年十勝においても糖度の低下が続くなど、少なからず影響が及んでいると認識しております。
このため、十勝にある国の試験研究機関では、温暖化に対応した新品種の開発に取り組んでいるところであります。帯広市におきましても農業技術センターにおいて試験圃場を提供するなど連携、協力しながら取り組んでいるところであります。
今後もこうした試験研究機関や生産団体等と連携しながら温暖化などによる環境変化にも柔軟に対応し、農業生産力を維持し、向上を図っていくことが必要であると考えております。
また、新規作物の導入についてでございますけれども、これまで農業技術センターなどにおきまして企業と連携して加工用のタマネギを初めトマト、それから薬草などの試験栽培を進めてきているところでございます。新たな作物が産地を形成するまでには、相応の年月、歳月を要するものと認識しておりますけれども、今後とも企業、試験研究機関と連携をしっかりと図りながら取組みを進めてまいりたいと考えております。
また、北海道による調査では、暗渠排水などを実施した後は異常気象や天候不順といった悪条件下にあっても適期作業が可能となると。収量の減少や品質の低下が抑えられているという生産基盤整備の有効性が確認されているところでございます。引き続き、国や北海道の制度を活用しながら安定的な農業生産の基盤づくりに取り組み、長雨そして干ばつ、低温など気象変動に強い農業を展開してまいりたいと考えております。
次に、環境モデル都市、行動計画で挙げたCO2排出削減についてでございますが、これまで毎年おおむね8割程度の達成率で推移し、市内のCO2排出量につきましては基準年の平成12年以降減少傾向にございます。
次に、CO2排出削減に向けた取組みについてでございますが、これまで毎年度新たな取組みを加えながら進めてきております。今年度は、町内会のほぼ全ての防犯灯をLED化とする見込みであります。太陽光発電システム、高効率の省エネ機器等の導入補助につきましても毎年計画を上回り、順調に推移しております。また、レジ袋削減の取組みや廃食用油の回収によりますBDF利活用などにも取り組んでおります。いずれも市民や事業者の協力によりまして、広く地域に根づいた活動になっております。
次に、省エネルギーなどの新技術の導入についてでございます。
省エネルギーや新エネルギーに関する新しい技術は、時代を反映して次々と開発され、その地域ごとの特徴を生かした取組みが進められております。こうした新技術の導入につきましては、先例事例などの情報収集そして調査研究などに積極的に取り組んでまいることはもとよりでございますけれども、市民や事業者とも情報共有、連携を図りながら官民一体となって地球温暖化に向けて取り組んでいくことが必要であると考えております。
最後に、下川町の御説明といいますか、お話を伺いました。これ大変私も下川町についてはいろんなところで耳にしております。ある意味、十勝のバイオマスの資源等々が非常に恵まれているという中で活動を今しているのが十勝の現状かなと。下川のように非常に限られた中なんですけれども、特化せざるを得ないといいますか、言葉は悪いんですけれども、持たざる地域の展開というものに、非常にお話を伺いながらその切迫感と緊張感というものを改めて感じたところであります。もう毎年何億円もの金をかけて下川は周りの山林を買っているそうです。それは、資源をきっちりと町として、財産としていくと。そこまで入っているというお話も先般聞いてきたところであります。引き続き、我々もしっかりと前に進んでいきたいというふうに思います。
以上です。
14番(小森唯永議員)  今市長のほうからフードバレー、それに産業振興、あわせてこれは切っても切り外せない、そういう内容だと思います。その思いを伺い、本当に真剣に考えてくれてるんだなというのはお聞かせいただいて、非常によかったなと思っております。
そこで、最後の提言をさせていただきます。
まず、産業振興に関して、これは市内、市外問わず管内中小企業はこの数年間かなり苦しい経営を強いられてます。少し前までは仕事がなく、よって職人に払える給料がないので職人が流出。このごろは、逆に仕事はあっても人がいない。資源の高騰、石油の高どまり等、それから商店はもう地元スーパーというのはほとんど地元資本がなくなってしまって、大手スーパーが、これも地元資本をほとんど飲み込んでいったと、そうやって言ってもいいと思います。他の物販もインターネットの普及等により地元消費が大幅に落ち込んでいます。このような中で、かじ取りとなる自治体の役割は重要かつ責任の大きさをやっぱり自覚しておかなきゃならないんじゃないでしょうか。何よりもまず、行政職員みずからが地域にとっての産業振興の必要性を十分に理解すること。地域の強み、弱みを見据えた独自の産業振興の戦略ビジョンを明確にして、行政の内外での意識を共有していくことが必要だと思います。そのためには、地域がたどってきた歴史や置かれている社会経済の条件に改めて目を向け、地域の財政経済への特定産業への依存度に対する正確な認識を持つこととともに、社会経済の環境変化を分析していくことが有効であります。
帯広でも、先ごろ行った企業の意識調査等も含め、本市の税収、それから産業出荷額、雇用などの数字からどの業種に依存しているのかを市職員みずから調査分析することがまず第一歩であります。そして、その産業が衰退したら自治体の税収、住民の雇用、所得がどうなるのかをできる限り正確に認識した上で、費用対効果の観点から産業振興を強化する必要性を認識し、共有し、産業への依存度の大きさを知っておかなければならないと思います。本市として、生き残りをかけて産業振興に注力する方針を市長、議会、職員等で共有していく必要があると思っています。独自の産業振興戦略ビジョンは、本市の産業振興のメカニズム、我々の自治体で実現するための実践志向かつ実行可能なものでなくてはなりません。総花的ではなく、あくまでも重点を置くべき具体的な事業とその担い手の存在を前提としたプロジェクトの実行と予算づけを意識したものにしていただきたいと思います。今後のさらなる取組みを求めておくものであります。
環境対策について、るるお伺いいたしました。
気象変動による農作物への取組みについては理解いたしました。これについては、本市の農業の根幹にかかわるものです。関係試験機関もしくは大学等、速やかに滞りなく行っていただきたいものだなと思っております。
また、環境モデル都市に関する対応として、街路灯の全LED化、それから太陽光発電に対する補助金、これらについてはやっていただいたということで非常によかったなと思っております。しかし、その他の取組みについてはまだまだ私は弱いと思っております。ぜひその辺の取組みももっと積極的に取り組んでいただくよう、お願いをしておきます。
気象変動から私たちが守るべきものは命であり、財産であり、文化であります。私たちは、気象も含めた自然システムに絶大な影響力を与えている存在であることを自覚しなければならないと思います。そして、自然システムの全てを解明したり、将来を完全に予測することだとか、自然の猛威を技術で完全に制御することは不可能であることも自覚しなければならないと思います。自然を尊重しつつも大胆につき合う姿勢を持って気象変動問題に望まないと、何も解決はしないでしょう。今までとってきた本市の環境対策は、私はまだ完全とは言えないと思っておりますので、これをお願いしてこの件は終了したいと思います。
それから、まちの発展には人口が大きくかかわってきていることは明白であります。人口増加には、子供が生まれることによる自然増加と、進学や就職といった社会増加がありますが、若者が職を求めて大都会へ流出し、また新たに高齢化社会を迎え、高齢者が医療や福祉施設を求めて都会へと流出していく社会現象はよく見られます。人口の増加策と経済の活性化は表裏一体であり、人口がふえれば経済は活性化し、経済が元気になれば地域が活性化され人口がふえるという要因でもあります。したがって、産業政策、雇用の対策など地域の活性化、地域振興などのまちづくりのビジョンがまさに今問われていると思います。昨今、人材の育成、高齢者の移住、観光名所の発掘、農産品の開発、宅地や農地の提供などオリジナリティに富んだ創意工夫に努めている自治体もあらわれており、人口増加策としての雇用の拡大や新たな産業構造の再構築、環境整備などの手段を今講じなければならないと思っています。
市長は、以前よりグローバル化時代にあることを述べられています。国際化が進んでいることについては私も十分に実感しており、今こそ未来を担う若者たちが胸を張り、故郷で誇りを持って仕事をし、この地域を元気にしていく姿が求められているのであります。
TPP問題により、十勝の基幹産業である農業は将来性に不安な要素が大きく立ちはだかっています。元気で持続的な農業の発展のためには、法外な高関税でも徹底したゼロ関税でもなく、その中間の適度な関税と適度な国内対策の実現可能な最適な組み合わせを選択し、高品質な農産物を少しでも安く売っていく努力が必要であります。十勝では生産調整など幸いありませんが、水田の4割も抑制するために農業予算を投入するのではなく、国内生産基盤をフルに生かしていい物を少しでも安く売るということで販路を拡大する戦略が必要であります。
食料不足は世界的な問題であり、10億人に近い世界の栄養不足人口の縮小に日本の農産物で貢献することも視野に入れて、日本から食料援助をふやす戦略も重要であると思います。食料は、日本と世界の安全保障につながる戦略的防衛品でもあり海外援助品でもありますから、狭い農水予算の枠を超えた日本の世界貢献のための国家戦略の中で考えられるべきではないでしょうか。
十勝の農業は、他地域に比べると類を見ない大規模経営であり、その分多数の方面にわたり、作業を分担する産業構造が生まれ、しっかり役割分担をしつつ、持続可能な経営モデルを確立しているわけであります。よって、農業が存在することによって生み出される多面的機能の価値に対する農家全体への支援は、社会政策でもあり重要でもあり強化すべきであります。十勝の景色を見ればわかるように、農業の持つ多面的な機能に対する対価としての社会環境政策としての支援と、地域の農地利用を中心的に担ってきた農家所得をしっかり支えられる産業政策としての支援を区別していけば、ばらまきの批判にはならないとの説明が国民にできるのではないでしょうか。十勝における農業は、地域全体の将来とそこに暮らすみんなの発展を考える経営でなければなりません。だからこそ信頼が生まれて、地域の人々が役割を分担して、域内産業の連携が可能になります。ガラガラポンにして一社の企業系がやればいいという考え方は、決定的に違います。それではうまくいかないし、地域コミュニティは成立しません。ビジネスの基本は、売り手よし、買い手よし、社会よしの3つでなくては持続しないことを肝に銘じておくべきだと思います。
そのために、市長はこの4年間地域の先頭に立ち、十勝帯広の地域産業として推し進めてきたのがフードバレーとかち構想であります。私は、市長が就任した4年前の代表質問でも同じことをお聞きしました。1期4年を通じて新たに感じていることも含め、地域産業政策として進めてきたフードバレーとかち構想の現状と課題について認識されていることは、先ほどの御答弁でもはっきりしたことを理解させていただきます。さらにこれから十勝経済を維持発展させていくためには、大胆な発想と緻密な計画のもと、確実な実行力が必要であります。グローバルな視点のもと、強力なリーダーシップを米沢市長にはお願いするものであります。
今回、帯広市長選が戦後初めて無投票に終わった意味は、大変思い責務を持ったということでありましょう。今後4年間、米沢市長のさらなる活躍を期待し、私の提言を含めた質問を全て終了させていただきます。ありがとうございました。